【レビュー】商法非難を打ち崩せるほど完成度が高かった故、最初からこれが出ていればという真・女神転生VVの話

ゲーム

歳を取ると食事って本当に重要なんだなぁと気付きます。少し食生活が乱れるだけで体調への変化がダイレクトに現れてくるのです。元々わりと気を使っている側ではあったのですが、より食べ物の栄養価というのを気にして食事を摂るようになりました。とりあえず野菜が本当に大事。

さて、完全版商法でむちゃくちゃ叩かれていた本タイトル、私も「DLCが出せる今の時代にこれか…」という落胆はあったものの、Steamでセールのときに買いまして、まぁやっぱりドハマリしてガッツリ遊びましたとさ。

ちなみに無印のレビューはこちらです。元々こちらでとり上げていた部分はこの記事では省略させてもらいます。

あ、以下微ネタバレ注意です。

総評

シナリオには至らない点があるものの、ゲーム的なシステム面は強烈に完成度が高い。何より開発サイドの「悪魔愛」がヒシヒシと伝わってきて、難しい戦闘の攻略を考えながらどうお気に入りの仲魔を育て、活かすか試行錯誤するのが非常に楽しい。

本当に最初からこれが出ていればねぇ…というのが惜しくてたまらない。無印のフィードバックがあったからこそ修正されたところも多いんでしょうが、それこそあのモンハンですらG級商法をやめて大型DLCにした今の時代にフルプライス買い直しはちょっと擁護できないです。まぁP5→P5Rとかもそうですし、そういうメーカーなんだと思うしか。

戦闘、育成メインのRPGとしては飛び抜けた完成度で、それをめんどくさく感じさせない操作性とUIの改善、仲魔に愛着が湧く裏庭要素等、噛み合う人にはとことん楽しめると思います。勿論世界観とかキャラクターデザインとかそういう部分の相性はあるでしょうけど。

シナリオは追加の復讐編は無印のフィードバックが生きているとは思いますが、元々の創生編と分けてしまったことによる弊害を感じます。広報サイドは「最初から復讐編遊んでも問題ないよ!」とは言っていたものの、実際のところ創生編の展開をある程度知っている前提で説明や会話が簡略化されていたりしますし。元々の無印のシナリオに今回の追加分を組み込む形で流れを作ったほうが良かったんじゃないかなぁと思います。

ストレンジジャーニーとかデビルサバイバーみたいな完成度のシナリオをまた望むのは高望みなんでしょうか。

良いところ

無印から修正された数々の要素

数が多すぎるので列挙はしません、公式の情報を見てね、としか。ただ、流石完全版商法をするだけあってユーザーのフィードバックが生きているというか、ちゃんと「何が駄目だったか」を理解した修正だと思います。

「裏庭」は会話の数とクオリティがやばい

仲魔にした悪魔と会話ができる「裏庭」。これ本当によく作ったなぁと思います、すっごい楽しいですよ。それこそ仲間を増やす系のゲーム(例えばドラクエモンスターズ等)も同じようなクオリティで会話ができるシステムとか欲しくなります。

会話の量は本当に膨大ですが、大体以下のカテゴリに分かれるようです。

  • 性格毎の自由汎用会話
  • 性格毎のフィールド特有の汎用会話
  • 性格毎のシナリオ進行度に応じた会話
  • 悪魔固有の自由汎用会話
  • 悪魔固有の神話に基づくエピソード会話
  • 悪魔固有のシナリオ進行度に応じた会話
  • 好感度の変動によるツン→デレ会話(未確認、たまたま?)

全ての悪魔が固有の会話パターンを持っているわけではないのですがそれでも膨大です。後半に行かないと仲魔にできない悪魔を序盤のフィールドに連れて行くとそこでしか見られない会話もあったりしますし(例:台東区エリアでの仲魔を品川区エリアに連れていく、等)。また、特定の悪魔がいると裏庭で発生する限定クエストとかもあります。

神話ベースになっているエピソードやセリフも完成度が高いですね。元々の話を知っていると思わずニヤリとしてしまうことも結構あります。

この要素のお陰でとにかく色んな悪魔に愛着が湧きます。特にデレられるとほんと合体に使うのが辛くなる、こいつら主人公(ナホビノ)のこと信用しすぎだし大切にしすぎでしょ…。

悪魔会話の追加要素

シルエットクーイズ!!たまにむちゃくちゃ難しい。

あと命乞いの確率が上がったのが地味に嬉しいです。結構会話しなくても仲魔が増えていきますし、お金やお香を巻き上げられるのもグッド。

ゲストのNPC「人間」キャラ

戦闘に参加してくれるのがなんか嬉しい。残念ながらあくまでゲストなため、途中離脱→復帰でステータスが刷新されていたりと育てる面白みはありませんが。

進行度に合わせてその時のボスに刺さりやすい性能をしてくれているのもあって、大体PTに組み込むとそれなりに安定して活躍してくれるのも◯。

追加シナリオ(復讐編)では人間キャラの絡みが増えた

PTへの加入、離脱も含め、NPC同士の会話も事あるごとに発生し、所謂無印にあった「描写不足」が大分改善されています。

特にタオちゃんの描写は良くなりましたね。自身の思想こそあるものの、人の意見を聞いて悩んだり、自分の行動を変えたり、あるいは信じているものを疑ったりと、凄く「人間らしい」葛藤が見て取れました。同じく絡みが多く新キャラでもあるヨーコちゃんも、絆されていく様子がわかりやすく描写されていて、基本険しい顔つきなのにところどころで一瞬緩んだりするのがなかなか細かくできています。

あ、イチロウとミヤズちゃんは描写が増えて評価が落ちた側です、残念ながら。

ユヅルはただひたすらに貧乏くじを引き続けて可愛そう。

「NPCが人の話を聞かないシリーズ」に少し光明が

これはこのシリーズの売りであり弱点でもあるのですが、思想毎に進み方が別れていき、プレイヤーにとってはその選択がマルチエンドの選択肢になる、というものなので、言ってしまえば重要登場人物は基本「自分の思想がはっきりしていて他人の話を聞かない」んですよ。んで、わかりやすく描写せざるを得なくなるため、プレイヤーにとっての最適解が「こいつら考えが極端すぎるし、話もきかねえしめんどくさいからもう全員ぶっ殺すか」というニュートラルルートや破滅ルートになってしまったりするわけです。

今作は会話イベントが増え、NPCの葛藤が見えるようになったという影響もあり提示される選択肢の「どっちがロウでどっちがカオスなのか」というのがパッと判断つかない絶妙さがあったりします、結構分岐クエストの中でもそれぞれのメリット・デメリットを見える形で表現していますしね。まぁ明確にどっちかのルートを目指している場合は余計な悩みにしかなりませんが、

以前ほど「ステレオタイプぶっぱ」な性格付けではなくなったのは良いかなと感じるところです。

賛否両論、もう一歩

シナリオはプロットと演出はいいと思うが

問題は2つ、「会話(台詞回しが陳腐)」「変化が物語中盤にしか無い」というところでしょうか。

1つ目の会話ですが、実際復讐編ではNPCの絡みが増えて良いことではあるんですが、その内容というか台詞回しがいまいちなんですよね。これはもう感覚的としか言えないところではありますが…。

2つ目の方は結構評価を落としているポイントで、新しいシナリオなのに後半が結局ほぼ同じ展開になってしまっている点です。そもそも無印でも尻すぼみなのが駄目だったところなのにそこは改善されていないんかい!ていう。

序盤の流れは概ね一緒(多少追加や変化がある)→まぁ良いと思う

中盤は大きく変化し、新しいマップも追加→素晴らしい

終盤は無印とほぼ同じで展開も似たような感じに収束します→なんで?

こんな感じでしょうか。

全体のプロットと要素要所の演出は割と良さげだったのですが、結局今回も後半が同じ展開で損をしているという。中盤から大きく変わるので、そのまま最後まで突っ走って欲しかったところです。

レベル差補正は緩和されたが

無印より大分マシになり、大分レベルが格上の相手でも対応できるぐらいにはなっています。また、クリティカル率や状態異常付加率の変動もまともになり、おそらくボス戦限定で、確率系はレベルの影響を受けなくなっているっぽい?結構無茶な進め方をしても戦略次第でなんとかなるようになっています。

が、そもそもレベル差補正自体がいらねえって話なんですよね。それをバランスに組み込まないでほしいわけです。作る側からすればこのシステムって調整がしやすいので採用したくなるのはわかりますが。

探索の煩わしさはそこまで変化なく

賛否両論に入れていますが、無印レビューでも書いた通り、私はフィールドもダンジョンも全然ストレス感じなかった人なので世間評的に入れています。

新規追加のフィールドはかなり無印の評価を意識したのか、高低差が少なく「見えているのにあそこに行けない」がほぼ無くなっており、良く言えば快適、悪く言えば退屈なマップになりました。

また、マガツロというショートカットも追加されたため、例えば「ここのジャンプ失敗したら最初からやり直しね」みたいなアスレチック的な部分も短縮できるようになり、大分テコ入れ自体はされています。

が、やはりあちこち走らされる、アクションじみたことをやらされるというのはあまり評価が高くないようです。

ユニークスキル実装によって更に広がる悪魔格差

ユニークスキルは専用スキルとは違って全悪魔に実装されました。ただその性能には若干開きがあり、育成過程で替えが効かない部分なため明確な格差として現れています。

言い換えると、単にスペックや初期レベルが高い悪魔より低レベルでもユニークスキルが有用だったりとか、特定のパーティメンバーを揃えると効果が発揮されるものとかがあるため、格差はあるものの選択肢は広がった、と捉えて良いと思います。

育成自由度が高いとは言えど「好きな悪魔を好きなように育てても必ず活躍してくれる」というものではないとだけ伝えておきます。

敵も強くてニューゲーム

ある条件をクリアすると周回する上で単に最初からやり直すパターンと、敵がパワーアップした状態でやり直すパターンを選べます。後者でないと解禁されない要素もあったり。

試みとしてはいいのですが、敵のレベルが150一律(プレイヤーの上限解放後の最大値)で、調整がだいぶ大味なため、楽しく遊べるかといえばちょっと疑問です。

際限なく敵が強くなるバーチャルトレーナー

過去のボスと再戦できる、というのが基本的な機能なのですが、やり込みとして「勝てば際限なく強くなっていくモード」で遊ぶことができます。上限はレベル999です、勿論プレイヤーサイドは150からは上がりませんよ。

単純にギミック的高難易度の人修羅等とは違い、パワーでゴリ押してくる難易度で、やり込むだけやり込んで、それでも飽き足らない人のための要素なためちゃんと調整されたものではありません。

ただ、RPGでよくある「最強の装備を手に入れたけど、その装備を使う相手がいない」みたいな問題を力技でも解決してくれている点は評価できるかと思っています。

マガツヒ悪魔

一定の確率でフィールドに現れる赤い強い敵。最近RPGでこういう要素はお決まりになってきていますね。ただこのゲームのそれはぶっ飛びすぎています。

プレイヤーサイドのHPが100前後のときにターンを渡した瞬間、400ダメージ超える全体攻撃してくるんだぜ?アホかな?て思いました。マガツヒ悪魔はほぼターンを「渡さないこと前提」で戦わなければならず、戦闘における駆け引きの面白みがありません。

説明しますと、所謂その悪魔が持っているマガツヒスキルを出せる悪魔なので、当然そのマガツヒ技が弱い相手なら別にターンを渡してもなんてことありません。ダメージを軽減するスキルとか、全員を全快するスキルとか、そういうのだったら別に脅威じゃないですからね。

こいつらは倒してもお香(仲魔のステータスアップアイテム、後に店で買い放題)を落とす程度ですし、経験値も微増程度なので無視しても問題なし。

悪いところ

周回強要

シナリオが追加されているのでEDの数が増えています。いや、別に気になるならやればいいだけの話じゃない?て思う人もいるでしょう。それは最もですが、得られるものが共通であるか何もない場合に限ります。

ED毎に解禁される要素が違うというのがよろしくない。また、レベル上限を突破するための条件クリアが最低でも復讐編を1回クリアしていなければいけない、というのが非常にめんどくさいですね。

あとムービーはスキップできますが会話ベースで進行するところは早送りしか無いためそれもまたストレスですね。周回によって得られるものが多いのにその周回に手間がかかるというのがなんとも駄目なところ。

マイナーなゲームになりますが、この辺りの快適性に花丸を付けたいのは「三国志だよくにおくん満員御礼」でしょうかね、あんな仕組みの周回であればよかっただろうに。

周回で護符系、ミマン収集系が引き継がれない

無印でも散々言われていただろう…!?

周回でダンジョンのスキップができない

無印でも散々言われていただろう…!? (二回目)、魔王城は言わずもがな、シャカンも結構だるい。

写し身が1悪魔につき1つしか持てない

無印でも散々言われていただろう…!? (三回目) 、無限とは言わない、せめて3つぐらいはねぇ。

サホリルートは無いんですか

勿体ないなぁ、非常に勿体ない。というか進行上の扱いが雑すぎて可愛そう。

ハーレムルートは無いんですか

タオちゃんとヨーコちゃん仲良くなれたんだからさ、二人をうまい具合に懐柔して侍らせるゴールがあっても良かったと思うよ。