私の英語能力は「簡単な会話がなんとか出来る程度」なので別に褒められたようなレベルではないのですが、それでも「どうしたら英語わかるようになるの?」と聞かれることがあります。ズバリ言ってしまうと「ひたすら単語覚えろ」です。文法は中学卒業程度で十分なのですよ。仕事でメールを使う場合も、英語圏はそもそも日本語みたいに無駄な畏まった書き方しませんし、間違っちゃいけないのは同じ意味でもニュアンスが異なる表現や優劣の差によって使う言葉が変わってくるので、それだけ注意という感じですね。
ちなみになぜ英語を覚えたかと言うと「海外のゲームをそのまま遊びたかったから」です。翻訳されていないタイトルも沢山ありますし、翻訳したことでニュアンスが変化してしまうようなものも多いですからね。実際適当に気になるマイナーなゲームをSteamで買って英語のまま遊べるのは結構ストレスフリーです。ただゲームの英語って普通に表現が難しかったりするので辞書は手放せないですけどね。ゲームで英語を覚えたい場合、一度日本語で遊んでストーリーやキャラのセリフを覚えてから言語設定を英語にしてもう一週遊ぶといいですよ、ドラクエ系みたいな、コマンドで会話を送っていくタイプが一番楽です。
また、海外通販で何かしらトラブルがあってショップやセラーと直接やり取りする必要がある場合も便利です。このぐらいならGoogle翻訳でもなんとかなっちゃったりしますけど。あとMMOとかオンラインゲーム、日本人は本当に全然コミュニケーションを取りたがりませんが、海外の方はやたら積極的に絡んできてチャットを飛ばしてくるので、その時にすぐ返信できるのはやはり楽です。
さて、前置きが長くなりましたがeshopを覗いていたらセールをしていたのでなんとなく買ってしまったこのゲーム、元々気にはなっていたので別に後悔はしていないのですが、ちょっとライト過ぎて寿命は短かったです、購入2日で最難関ダンジョン(持ち込み不可)終わっちゃいましたからね…。
概要
元々はスマホゲームとしてリリースされかなりヒットした話題作の1つです。ジャンルは所謂「不思議のダンジョン系」で、元祖を辿ればRogue、多くの人に馴染みのあるのは「トルネコの大冒険」や「風来のシレン」等になるでしょう。いつ頃かは覚えていませんがSwitchに移植されていました。
スマホ版では色々と追加課金要素があったようですが、Switch版に関してはそういった要素は無くなり、基本的には買い切りで全てのコンテンツが遊べます。課金によってアンロックする要素だったものは、ゲーム内の特殊なコインやその他条件達成等で解禁されるように変更されたようです。また、当然ではありますがコントローラー操作に対応していますし、画面も16:9に最適化され、全体的に見易く変更されたようですね。
あとこれは私の個人的なことですが、この手のゲームは「ローグライク」ではなく「不思議のダンジョンライク」と呼んでいます。ローグライクは今や指し示す幅が広くなりすぎているのと、不思議のダンジョンは正直もうプレイフィールが全然違うゲームなのですよ、私にとってのRogueの正当な進化先はAngbandやNethackなのです。
良いところ
キャラクターデザインが全体的に可愛い
所謂露骨な萌え系、ではなく素直に可愛いデザインですね。プレイヤーサイドも敵キャラクターも基本愛らしい感じで良きかな。
複数のキャラクターを使える
最初に使えるのは女騎士である「クレア」だけですが、ダンジョンをクリアする毎にキャラクターが解禁されていき、最終的には4人使えるようになります(最後の1人はゲーム内コインで解禁、そこそこ高額)。キャラクターはそれぞれ何かしらの特性を持っていて、例えばクリスタル(後述)が持てる個数が1つ多いとか、スタート時のHPがちょっと多いとか、デフォで竜特効を持っているとかあるので、好みとスタイルに合わせて使い分けができますね。
基本的には良好な操作性
コントローラーで操作していても特別不便なことはありません(1つだけ除く)。スマホのタッチ操作もかなり快適だったようなのですが、やはりスピード感はコントローラーには敵わないのではないかなぁ。
アイコン表示で見易いUI
アイテムはアイコンで表示されるので一覧で見易いです。ただ、私の場合はシレンやふしげんに慣れすぎていてちょっと戸惑いはしますね。対象を選択して使うアイテム(例えば武器防具の強化や解呪等)は、対象になるアイテムが自動でピックアップされ、対象が無い時はそのダイアログがでるため非常に親切です。
BGMはインパクトは無いが全体的に高クオリティ
凄い耳に残るとかかっこいいとかそういうレベルではないですが、全然空気ではないですし階層変化に合わせて次のBGMがどんなものかワクワクするぐらいのクオリティはあります。
オリジナル要素は「モンスターのクリスタル」
モンスターを倒すとたまにクリスタルを落とすことがあり(アイテムを使って確実に落とさせることもできる)、これはモンスターごとに固有の効果を持っています。プレイヤーの周囲2マス全域をカミナリで攻撃するとか、前3方向の遠隔炎攻撃とか、前方の敵に攻撃&鈍足効果、とかですね。
アイテムとは別枠で各キャラに保有枠がありデフォは3枠です。結構強力な効果を持つものもあるので攻略に置いては非常に重要な要素でしょう、ただ必須というほどではなく塩梅としては絶妙。
オリジナルと言いつつも、これドラゴンファングですよね。
恒久的な効果を持つ帽子
ゲーム内通貨の1つである「コイン」を利用することで購入できます。アイテムとは違いキャラに直接被らせるもので、例えば「毒の状態異常を受けにくくする」とか「サビを一定確率で無効化する(低確率)」とかの効果を持っています。
ゲーム性もバランスのとり方も完全に不思議のダンジョン
全体的な調整は初代トルネコの大冒険が一番近いかな、嫌らしい特技持ちとかも少なくシンプルです。ランダムマップの造りや距離感もそのまんまですし。
死んでも武器と盾は持って帰れる
基本死んでしまうと全て失って拠点に戻るのがこの手のゲームの通例ですが、武器と盾は無くなりません。貴重な強い装備だからとか言って倉庫の肥やしになることは無いわけです、ガンガン持ち出しましょう。
まぁふしげんTODRとかだと、そもそもストーリーダンジョンは死んでも何も失わなかったので初心者向けの度合い言えばあっちの方がより配慮していますね。
プレイヤーに不利な効果は全部時限制
トルネコとかシレンだと「口なし(封印)」とかは階層中ずっとだったりしましたが、基本そういった永続効果は有利なものだけで、不利な効果は全部時限制なのでターン経過で回復します。しかもおおよそは本家と同じか持続ターンが短めです。窮地に陥りにくい分ゲームとしては優しいというわけですね。
様々な縛りプレイ要素
ゲーム自体のボリュームは少なめですが、各ダンジョン毎に縛り要素による称号があります。例えば「杖を使わずにクリア」とかですね。強制的に使えなくするとかではなく、あくまで自己判断でそうした場合、クリア時に称号が付くといった感じのものです。
アイテム図鑑やモンスター牧場等の収集要素
手に入れたアイテムは図鑑で確認できますし、モンスターは倒した際一定確率で起き上がり牧場に送ることができます。牧場はモンスター図鑑の要素も兼ねていますが、捕まえたモンスターを何かゲーム的に使える要素はありません。
ただ、こういった要素含め、ダンジョン踏破やしばりプレイの称号等は「コイン」を貰える条件の1つで、コインは前述した帽子や最強キャラの開放に利用したりするので自己満要素、というだけではないですね。
チケットを使ってアイテムゲット
スマホゲームの時の名残でしょうね。ログインボーナス等で遠征チケットが貰え、それを使って遠征をすることでアイテムをゲットできます、しかもそこそこレアなアイテムや強力な装備も入手できます。
また、チケットとは別に1日1回ノーコストで遠征できます。ただこちらは抽選されるアイテムがそこまで良いものではありません。
賛否両論
未識別の杖は使えば自動で判明する
薬や巻物は本家もそうですが、杖類は識別するまで名前も回数もわかりません。このゲームだと使った時点で識別され回数も判明します。一度識別された杖と同じものが落ちていた場合、名前はわかりますが回数はわかりません、この場合でもその杖を一度でも使えば回数が判明します。
「この杖あと1回ぐらい振れるかな…でも残っていなかったらヤバいな…」みたいなシーンで考える面白さや「ギャンブルで振ってみたらもう回数が無かったぜ!」みたいなことが無くなるのが逆に寂しい気もしますね。
本家に比べて搦め手(細かいテクニック)が少ない
絡め手が少ない、ということは基本的に「アイテムは効果に即して使うだけ、闘う時は正攻法」以外潜っていく手段が無いのです、所謂ガチンコ。アイテムの種類自体が凄い豊富で、相応にいろいろな能力を持った敵がいる、とかならそれでもいいのですが、根本的に少ないため攻略パターンが無茶苦茶少なくなります。特に影響が顕著に出るのが素潜りバランスですね、テクニックを使って立ち回る要素が少ない分アイテム運に左右されがちです。
ちょっと項目を細分化しましょうか。
ダッシュ移動でアイテムやお金に乗れない
徒歩でもダッシュでも手持ちに空きがあれば拾ってしまいます。単純に探索の際のストレスになる他、「お金をアイテム化できない」というデメリットがあります。シレンにあった「ギタン投げ」は強敵相手には必須レベルなテクニックですしね。
アイテム自体に特効等は無い
例えば毒系のモンスターに対して毒消し系アイテムで大ダメージ、みたいな要素は無いですね(そもそもこのゲームだと状態異常回復は万能薬だけですが)。モンスターを意図的にレベルアップさせて特効で倒して経験値ガッポリ…とかできません。あ、ドラゴンキラーが竜に効果的、とかそういうのはありますよ。
そもそも同士討ちレベルアップがない
モンスターにモンスターを倒させても特にレベルアップしないので、それで経験値を稼ごう、とか出来ないですね。
木の矢集めは現実的じゃない
AIルーチンを利用して、矢が届かない距離にいて遠距離攻撃してくる相手から木の矢を集める…なんてことはできません、同様に矢の罠にアイテムを投げて落として発動させて…という技もありません。攻撃をミスってくれれば足元に落ちますからそれが回収できるぐらいですね。基本矢はダンジョンに落ちているものを素直に拾って集めるしかありません。
壺に該当するアイテムが無い
壺は単純にアイテムの所持数を増やすだけではなく、それの効果を逆手にとった使い方、というのもありましたが、そもそも壺に該当するアイテムありませんから。同時にアイテムの所持限界は20個固定ということになります。パンを余分に持っていても大抵罠で腐ります。まぁこの辺りも初代トルネコのリスペクトなのでしょうか。アイテム自体の取捨選択に悩む、というのは良い面でもありますね。
満腹度の最大値は増えない
100%の状態でパンを食べても最大値が増えたりしません。パンが沢山落ちていたから増やしておこう、てことは土台出来ないわけですね。まぁパンを量産する手段も無いですし、そもそも深い階層のダンジョンが無いので(99Fダンジョンとか存在しないよ)あまり気にすることでは無いです。
「チェックポイントから持ち込み無しクリア」の称号
各ダンジョンは大体中間ぐらいが「チェックポイント」となっていて、一度通過すれば次回以降その階層からスタートできます、が…持ち込み無しで挑む場合は殆ど運ゲーです、そしてその称号があるのが嫌らしい。
一応そのスタート階層は割とレベル1でもなんとかこなせるぐらいのバランスでは有るのですが、とにかくアイテム運に左右されまくる、特に後半のダンジョン。良いアイテムを引いた上で、効率よくレベル上げとか行なってなんとか、て感じでしょうか。「いけるかもしれない」てアイテム運の時の緊張感はかなり面白いです。
絡め手が少ないと言ったものの、敵の行動ルーチンを利用した安全な経験値稼ぎ等もあり、そういった技を駆使する楽しさと達成感はありますが、どうしても運要素が強すぎるのは否めません。
悪いところ
斜め入力がやたらシビア
その場で向きだけ変える、という操作はこのジャンルではかなり多用することになるのですが、この操作が凄いシビアなのです。斜めにしたいのに隣接する左右上下が反応してしまい、なかなか斜めを向いてくれません。
スティックを使って希望する方向に軽く弾くような形で入力すると多少入りやすくなります。私はこの手の「入力に対して0⇔100判定をする」ものは十字キーを使うスタイルなのでとにかく不便です。
アイテムの抽選テーブルは階層に対してかなり露骨
トルネコでいきなり正義のそろばんやはぐれメタルの剣、シレンで剛剣マンジカブラが出て「うおおおお!」てなったことありませんか?私はあります。
このゲーム、武器に限らずアイテム群が階層に対してかなりきっちり分けられているようで、例えば薬系でも低層での回復薬率むっちゃ高かったりします、復活の薬とかドラゴンキラーとかダークシールドとか低層で見たこと無いですし。もしかしたらただ低確率なだけで抽選テーブルには入っているのかもしれませんが、少なくとも見たことないですね。
ギャンブル性がなさ過ぎるとかなり面白さが半減してしまうジャンルですのでこれは大きなマイナス点。後半ダンジョンとか持ち込み不可系ぐらいはもっと抽選緩くしてほしかった。
とにかくアイテム総数が少ない、モンスターの種類も少ない
全体的にボリュームが足りない、といえばその通りなのですが、不思議のダンジョン系はアイテムやモンスターの種類が多いほど攻略のバリエーションも増えてきます。これらが少ないということは繰り返し遊んだ時のワクワク感やドラマも比例して少なくなる、ということです。
ダンジョンは代わり映えしない
数自体はそこそこあるのですが違いは最深層の深さ、一部のモンスターとアイテムの抽選テーブルぐらいでマップやBGMは変わりません。1つ目のダンジョンの6層と最後のダンジョンの6層は見た目もBGMも同じです。
全体的にモッサリしている
モーションが重いのです。1つ1つのアクションで待たされる感じがあり、それこそ後期のシレン作品とかふしげんとか遊んでいると非常にテンポが悪いですね。
未識別アイテムに名前を付けられない
正直アイテムの総数自体が少ないゲームなので活用すること自体殆どなさそうですが、アイテムに対して使う巻物系は手持ちのアイテム群や既に判明している巻物とかから効果を推測することが出来たりします。推測できても名前付けられないので未識別名を覚えるしかありません。
装備強化はむちゃくちゃマゾい
合成システムみたいなものはありませんからそれぞれを強化する巻物を利用する以外ありません。その巻物も全然拾えません、かなり低確率です(後半ダンジョンの深層は気持ち多いかもしれない)。加えてメッキの巻物みたいな弱体効果を無効にするものは無く、サビよけの指輪や前述した帽子は確率判定なので、罠やサビ攻撃を確実に防ぐ手段というのがありません。
シレンやふしげんのお手軽さと比べてはいけませんが、ここに関しては初代トルネコと比べても厳しい環境だと思います。というかゲームバランス的にも過度な強化を想定していないでしょう。
総評
とにかく内容も金額もお手軽で、複雑なシステムもなくシンプル。ただジャンル上ボリュームの無さがそのままゲームのバランスやランダム性の面白さに直結してしまうので1000回遊べるゲームではない。
初代トルネコが一番近いかな、と書きましたが、比べた場合のバランスの良さやランダム性からくるドラマの多さはトルネコの方が上ですかね。割とプレイヤーが有利になりやすいので初心者にも安心して遊べるとは思いますが、それだったらふしげんTODRの方が(難易度や仕様的には)ずっとハードルが低いです、勝っているのは金額面のアドバンテージぐらいでしょうか。
丁寧なグラフィックとUIでとっつきやすく最初は面白く遊んでいられるのですが、攻略パターンの開拓がすぐ終わってしまい、そもそも1回1回のドラマ性が少ないことから急速に飽きがやってきます。縛りプレイで難易度は自分で調整できますが、結局アイテムやモンスターの総数が少ない、搦め手が少ないということは、立ち回りが完成してしまえばあとはしばれるかどうか含めて運次第になってしまうのです。機転を利かせた行動とか、テクニックを駆使して修羅場の切り抜け、なんてことがほぼ起きない。装備強化が現実的じゃない仕様で、バランス的にも素潜りを基準に作られているとは思いますが、その素潜りが何度もやりたくなる中毒性を持っていない、というのがちょっと致命的かな。
持ち込み不可の最難関ダンジョンでも緩い難易度なので、最終的にはタイムアタックダンジョンの繰り返しになるのでは無いかと。だからシレンRTAとか好きな人だったら寿命が長いかもしれません、オンラインのランキングもありますし。
まぁ金額分の面白さはあると思います。ちょっと不思議のダンジョン成分が欲しくなってきたな、て時に遊ぶぐらいで丁度いいでしょう、ただ熟練のシレンジャーにとってはすぐ終わってしまうことは間違いありませんし、「不思議のダンジョン系ならではのカタルシス」というのは少なめなゲームです。そしてSwitchはふしげんTODRがあり、シレン5の移植ももう出ちゃいますからね。競合が強すぎるのでとにかく「安く、お手軽に」というところにメリットを見い出せば良いでしょう、そもそも売り文句が「お手軽ローグライク!」ですし。