【レビュー】ダラダラ遊んでそれでいい、癒やされながら楽しめる「ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女」の話

ゲーム

レビューするゲームが溜まりすぎて困っています。文章書くのにもね、だいぶ時間がかかるので…。「こういうときこそAIだ!」て思ってちょっと色々と調整しているんですが、「自分」を反映させるのは非常にハードルが高いな思うところです。業務ではバリバリ使っているんですけどね。

さて、特に買う予定もなかったのですが、突然欲しくなり発売日に衝動買いしました。そしてその行動は正しかった。

総評

ゲームとしては既視感の塊だが、とにかくバランス感が良く、このゲーム独自の雰囲気や楽しさも提供できている。キャラも可愛いし全体的に優しい空気感に癒やされます。

表現として「ゼルダ(ブレワイ)+ぶつ森+その他」みたいな言い回しを見かけましたが、これは概ね合っているかと思います。「この要素◯◯だよね」自体は色々なところで散見されるも、ちゃんと落とし込めているし、それぞれの要素もちゃんと噛み合っているため決してキメラな感じではありません、「ありそうでなかった」を高いレベルで実現してくれています。ただ、各要素が全部「浅め」なのでそこは良くも悪くも、といった感じ。

また、とにかくキャラが可愛く絵本のような世界観、ストーリー、優しいBGMに終始癒やされます。こういった方向性は下手にダークだったり大人向けに仕上げるよりよっぽど難しいと思います。

多少不便だったり不親切な点はあるものの、アプデによる修正も期待できそうな動きがあるので更に良いゲームとなっていく可能性もあります。「スローライフゲー」としてゆっくり楽しんでいきたいですね。

いいところ

SDキャラがとにかくかわいい

全部可愛い、ぶつ森とかとはまたちょっと違うし、この辺りはレベル5の強みだなぁと。

キャラメイクもちょうどいい

すごく細かく造形が弄られるわけではなく、あくまでパーツの組み合わせと位置調整ではありますが、元がスッキリしたデザインなのでそれでも十分色んなタイプの自キャラを作ることができます。

嫌なNPCがいない

人によって好みはあるかもしれませんが、変にヘイトを稼ぐような変な性格をしているNPCはおらず、でもちゃんと個性もあるという絶妙なところを突いています。みんな優しい、みんないい人。

仲間NPCとの関わりが楽しい

拠点で生活する仲間NPCは相互に会話をしますし、その組み合わせも豊富です。各々勝手に釣りをしたり家の中で制作したりと行動パターン、会話バリエーションも多いので、つい観察したり交流したりしたくなります。

幅広く色んなことをライトにできる

「ソロで昔のMMORPGを遊んでいる感触」というところでしょうか。MMOみたいにひたすら時間がかかるようなものではなく、適度に遊びやすいように調整されています。

ライフ(職業)カテゴリが戦闘、採取、制作の3つにわかれていて、更にその中に色んなライフがあるので、それぞれを好きなように育ててOK。全部極めてもいいし、特定のライフの分野は仲間NPCに頼るといったスタイルで遊んでもいいと思います。

拠点ハウジングもありますし、そこそこ大きな(バカデッカーナ)大陸を探索、冒険する要素もあります。やりたいことをやりたいところから手をつけ、好きなペースで進めればいいのです(とはいえストーリーは強制されますが)。

雰囲気と世界観に合ったBGM

ゴリゴリにかっこいいとかおしゃれとかではなく、どこかコミカルで馴染みやすいBGM群です。採取系のボス級のときでも壮大な戦闘BGMが流れるのは笑いますが。

あと、各ライフをマスターにした時に流れるミュージカルBGMが妙に凝っていて面白い、歌詞もこれまた優しい言葉選びで本当に絵本の世界のよう。

時間に追われない

「スローライフゲー(スローライフではない)」みたいな言葉が生まれてしまうぐらい、実はこの手のゲームはタスク管理ゲーであることが多いです。私は個人的に時間を制限されるシステムは好きではなく、それにより牧場物語やルンファク、あとペルソナのカレンダーとかアトリエ系がどうしても馴染めないのです。

このゲームは昼夜と日数経過の概念こそありますが、それがシステム上縛りには働いていないため本当に「好きなことを好きなペース」でやることができます。

クロスプレイ対応

今の時代必要なことです。プラットフォームが違うフレンドとも一緒に遊ぶことができますね。※このゲームにフレンドは着いてきません。

もう一歩、調整希望

戦闘職バランスは良いとは言えない

一言で言えば傭兵弱すぎ、狩人強すぎ。

傭兵はコンセプトとしては「鈍重で柔らかいが一撃が大きい」的なところだとは思うのですが、ダメージ的に実は対して強くもないので、ただ隙が多い使いづらいライフとなってしまっています。また、変に敵をノックバックさせたりするおかげで連撃をスカってしまったりととにかく不遇。

狩人は遠隔攻撃ができ、素早く、特有の回避アクションも持っていて(連続で使うとダッシュするより移動が速い)、状態異常の搦手も持っていて、かつダメージも十分大きいという全てを兼ね備えたライフとなっています。欠点?ありません。

魔法使いはスタミナ減少バフの発動にかかる時間と効果時間が噛み合っていない印象、あとダメージも控えめに感じますが、本来遠隔攻撃ならこのぐらいでもいいのでは、という気も。ゲーム的には属性の概念もあるので、各種属性を使いこなせるようにしてほしかったところ。

王国兵士は…わりといいんじゃないでしょうか。

戦闘アクションにもうちょっとバリエーションが欲しかった

弱と強のそれぞれの攻撃のコンビネーションの派生先や、チャージ攻撃の切り替え等は欲張ってもいいんじゃないでしょうか。簡単なのはいいことですが、少々シンプルすぎるような。

あと仲間が持っている固有の専用技を覚えたりすることできませんかね?結構凝っているし数も多いしで勿体ないです。

ストーリーは「超」ご都合主義で特に捻りもない

良く見るなら王道スタイルで安心して進めることができます。NPCも優しい人たちばかりで、みんな少なめの会話から状況を瞬時に理解してくれます(イベントの間延びが無くやたら進行がスムーズ)。

一方で期待するようなところでもない、という完成度ではあります。

ラスボスサイドに救いはなかった?(微ネタバレ)

少なくとも「みんなハッピー」なエンドではなかったわけですね。こういう雰囲気のゲームだからこそ、そこを目指して欲しかった感があります。

エリアランク7は遠すぎる

大陸は各エリア毎にランクがあり、それを上げることで手に入る素材が良くなったり、敵が強くなったりと色々な変化が起こります。基本エリア内で探索、討伐をしていけばちょっとずつポイントが溜まっていきますし、沢山ポイントが欲しければランダムに発生するチャレンジをクリアすれば多めに稼ぐこともできます。

ただ、最大のエリアランク7だけは遠すぎる、ランク6の時点で開放される要素で一通り問題なく、7にするのは自己満足的なところが強いバランスになっているのが救いでしょうか。

あとは、そもそもゲームのデザイン的に「短期間でやり込んで上げきる」ことを想定していない気がします。ちょっとずつ遊んで上げていきましょうねー的な。

視点カメラ

基本は「半見下ろし型」というスタイルのゲームなので、視点を水平近くまで寄せることができません。一応大陸探索時のみアプデによってこの問題は解消されましたが、拠点でも視点を下げたいのです。

大陸はあまり大きくはない

最初に到達したときは「おおー!」てなりましたが、一通りエリア開放をした辺りで「あれ、あまり大きくはないな?」と感じました。それこそゼルダとか、エルダースクロールズとか、そういうゲームをイメージしてしまうとちょっと肩透かし食らうかもしれません。

どうしても作業的にはなる

そもそも「ソロMMO」ライクなゲームですので…。特定の素材を求めて同じ敵を延々と倒したり、制作レベルを上げるために同じものをずっと作り続けたりと、そんな作業は多少なりありますよ。

制作ミニゲーム

まとめて作りたい場合はスキルを取得して一気に作成。品質を上げたい、作る素材の量にボーナスが欲しい時はミニゲームをやる、という棲み分け自体は良いと思います。欲を言うなら、素材系ではなく装備等の「一点もの」も同時に複数制作したいですね。

ミニゲーム自体の面白さに限界があるのが問題…とは言いつつ、こういったものを「ずっと楽しい」と思えるような仕様にするのって土台厳しいような気もしています。

ガチャダンは間延びする

いわゆる自由に探索できるランダムダンジョンで、1回で10階層潜ってボス格を攻略すればクリア、というものなのですが、正直結構ダレます。もうちょっと各階のお台とかイベントにバリエーションがあったり、5階層目ぐらいでもう1つボス格を挟むとか、もう少し遊んでいて変化をつけるか、そもそも一回がさっくり終わる方がありがたいと思います。

悪いところ

ビルド要素が薄い

スキルボードはあるものの最適解がほぼ決まってしまう(というかレベルを上げれば全部取れてしまう)、装備にランダムOPこそあるが種類も少なく、相互だったりスキルとの兼ね合いでシナジーを起こすようなものもないので、こういうビルド組んでみよう、という気持ちになるほど底が深くありません。

トレハン要素が薄い

基本的に自作したほうが強いです。なので拾って手に入る装備は繋ぎにしかなりません。

武器・防具屋に存在価値がない

まぁこの手のゲームで存在価値があるバランスにするほうが難しいとは思いますが、前述の通り作るか拾うかで間に合います。実際私は一回も装備を買ったことがありません。

説明不足要素が多々ある

便利操作だったり仕様だったりで「そんなのストーリークリア後に知った」「XX時間プレイしてから知った」みたいなものが結構あります。チュートリアルが長く冗長になるのも問題ですが、説明が足りないと思うところが結構ありますね、ゲーム内ガイドにも載っていないこともありますし、抵抗がなければこの辺りだけでも攻略情報を事前に見たほうがゲーム内QoL上がると思います。

装備・アイテム画面のUI、マイセットや重ね着あれこれ

まずパッと見で分かりづらいです。ソート機能へのアクセスもちょっと手間。ソートカテゴリ自体は充実しているのですが…。

マイセットも最初は装備のシリーズ毎に設定していたのですが、操作に一手間かかるので結構めんどくさいです。また、重ね着や仲間NPCの装備関連も1つのマイセットとして登録できる要素があれば尚良かったのに。

そもそもPTメンバー外の仲間装備を自由につけ外しが出来ないのが不便です。一応「装備しているよアイコン」は表示されるので、それをプレイヤーが一回装備したりすることで「外す」事自体は可能ですが。あと制作系のキャラに関しては、制作時のお手伝いをお願いする時に装備変更が可能ですね。

マルチプレイにキックがない

本来無くても機能するのが一番理想的なオンラインマルチなのですが、残念ながら寄生プレイヤーが多いです。メンバーが敵を倒したり収穫したりした成果物や経験値がまるまる手に入るので、レベルが低いライフにチェンジして放置しているとか、そんなのが結構います。

マルチ合流時にいちいちゲームが止まる

一回画面が切り替わって「仲間がこっちにやってきます」みたいな待ち状態になります。回線とか相性にもよりますが、10秒とか待たされることもあります。例えばメンバーのうちとあるプレイヤーが何度もエラー落ちするじゃないですか、で、その人がその度にマルチに復帰してこようとすると毎回この待ち時間が発生するのです。システム上、今いるプレイヤーに影響を与えること無くリアルタイムに参加できるように出来ないのかしら。

仲間に頼り「きる」のは最終的には辛くなる

「自分がやらないライフは仲間に頼ればいい」と書いておいてなんですが、多分これ縛りプレイの範疇に入ってきます。結局何をやるにも全ライフ育てたほうが楽なんですよ…。MMOだと、それこそ全部育てる場合「毎日プレイして年単位かかります」みたいなこともありますが、そんなレベルの話ではありませんから。

ただ仲間が要らなくなるわけではなく、後半の制作難易度はお手伝いしてくれる仲間のパラメータも加味した上でのバランスになっていますし、高レベルの戦闘職の仲間はかなり強いです、そもそも専用技もっていますしね。

採取成果を仲間NPCが奪っていく

採取系の仲間を連れて…例えば木こりを連れて伐採を始めると、対応した仲間は一緒に木を切ってくれます。実際採取物の体力が多いとかなり助かるのですが、最後のフィニッシュを持っていかれてしまう場合が結構あるのです。それの何が問題?て話なのですが、最後に火力の高い攻撃でオーバーキルすると「Excellent!!」という評価になって素材が多めに手に入ったり、レア素材を入手しやすくなるんですね。ただ、採取物の体力を削ってから自分でフィニッシュをしようとすると、溜めている最中とかモーション中に仲間が倒しちゃうのです。当然Excellentにはならない。

最後の1発はプレイヤーの攻撃必須とかにできませんか?マルチのときはまぁみんなで空気読んでやりますので。

ハウジング周りは全体的に改善の余地あり

設備ごとの設置、移動、撤去

毎回ギルドハウスに入って担当に話しかけて設備のデザインを選んで購入して…てなことをやらなければいけないのはかなり手間です。

また、設置したあと建築の待ち時間があるのもゲーム的に必要な要素だったのかと疑問、画面暗転→瞬時に設置完了でも問題ないのでは?

移動したい場合、「元の場所」とかぶる形で動かすことが出来ないので、例えば家とか橋とかを「1マスずらしたい」みたいな場合でも一回撤去するなり、被らない場所に一旦移してからもう一回戻してくる、みたいな2度手間が発生します、そしてここでも設置時の建築待ち時間があります。

撤去もギルドハウスで担当に話しかける必要がありますし、無駄な演出(待ち時間)を挟みます。

橋とか階段を沢山設置したり動かしたり、ということをやろうとするとそれだけでかなり手間がかかる仕様です。

NPC用の家が6つしか設置できない

仲間にできるNPC自体はもっと沢山いるし、拠点の広さ的にもまだまだ余裕があるのでもうちょっと設置できても良かったのでは?クロスプラットフォームなのでスペック的な問題もあるのかもしれませんが…。

同様に橋や階段系の設備も上限20は、凝り出すと心細い数字です。

地形操作系は多少制限がある

高台は必ず1マス「段差」が必要なので、そそり立つ壁みたいなものは作れません。高さを上げた地面同士を橋で繋ぐことはできません。水場を作るときは一回地面の高さを最低まで下げる必要があります。橋や階段は長さや高さが固定で任意に調整することはできません。

細かいところで色々な制限があり、望み通りに弄られるかと言われれば「ノー」と答えるでしょう。ちょっと前までElinでむっちゃハウジング頑張っていたので余計比較してしまいます。