【レビュー】2DSTG入門にぴったりで中毒性抜群のエンター・ザ・ガンジョンの話

ゲーム

湿気がとんでもないですね。暑さと湿気で本格的にマスクがしんどいです。だからといって外して出掛けるなんてことはまずやってはならないですし。ユニクロがエアリズムマスクを出したり、紳士服ブランドが夏素材で通気性の良いマスクを出したりと、各メーカー頑張っています。

さて、最近は仕事も含めやることが多くてゲームにあまり触れていないのですが、こんな時は合間の休憩時間に「1プレイ」できるタイプが重宝します。エンター・ザ・ガンジョンは大体30分前後で一回が終わるので息抜きについつい遊んでしまい、気がついたらその中毒性にどっぷり、という罪深きゲームです。

概要

全5層からなる自動生成ダンジョンを、拾ったアイテムと銃と腕で切り開いていく2DSTG&アクションゲーム

見下ろし視点で全方位型です、左スティックで移動、右スティックで照準を動かすスタイル。最初はキャラ毎に固定の装備を持って乗り込み、探索しながら強い銃、便利なアイテムを拾ってキャラを強化しながら潜っていき、5層のボスを倒すのが基本的な目的になります。

いいところ

懐かしさを感じるドット絵とフォントとBGM

昨今のインディーズだとドット絵は逆に珍しくないぐらい浸透してしまっていますが、ゲーム全体の雰囲気がそういった「レトロ感」を演出しているので懐かしい気持ちになります。

STGの3大原則が守られている

「狙う、撃つ、避ける」の3つです。特に2DSTGの世界は弾幕が流行ってから「狙う」と「撃つ」が若干スポイルされ気味な傾向があったのですが、このゲームは全てが非常に気持ちよく機能しています。コンシューマなら右スティック、パソコンならマウスで狙いをすます楽しさ、狙った相手にきっちり弾が当たり倒せる気持ちよさ、飛んできた弾をきれいに避ける爽快感、全部入りです。

ライフ制で最初から6回被弾できる

6回って多いですよね、大抵の2DSTGは2~3回、エクステンドも1~2回程度です。しかも最大値アップのアイテムをとれば更に増えていく上、アーマーアイテムを拾えばその個数分守ってくれますし回復アイテムもそこそこ手に入ります。ボムに当たる「ブランク」は被弾でリセットされないので初心者にありがちな抱え落ち、という状況は起こらないですし、被弾時にブランクを発動して守ってくれる、所謂「オートボム」的なことをしてくれるアイテムも出てきます。

パターン化とランダム対応の両方が学べる

2DSTGの基本である「パターン化」ですが、これは各ボスの対応にあたることで自然と身についてきます、ボスをノーダメージで倒すとご褒美でライフが貰えるので必然的に頑張ることに。それ以外の部屋と雑魚に関しては基本的には臨機応変に状況判断する必要があるわけですが、実はこの部屋と雑魚編成は完全ランダムではなく、いくつかの組み合わせで成り立っているので、何度も繰り返し遊んでいると特定の条件が揃うと同じ状況になる、ということにも気がつけます。

プレイフィールの変わるプレイヤーキャラクター

使うキャラでプレイフィールが変わる…といえば、まぁそんなの当たり前と言われればそうなのですが、初期4キャラに加えて隠しキャラが+αで存在します。格ゲーならいざしらず、STGやアクションゲームとして考えると総数が多い方です。

ドッジロールが絶妙

モンハンやソウルシリーズの回避のようなやつです。基本STGにおける「避け」というのは言ってしまえばイライラ棒なわけですが、こういったアクション要素があるおかげで雑に密度の高い敵弾を一気に避けたりする快感が生まれます。ただそれによって簡単になりすぎることはなく、ドッジロールの最後は無敵時間がなくなっていて、かつその後に僅かな硬直が発生するため、ちゃんとタイミングを見極めて使わないとその後に被弾する、なんてことが起こります。

積み重ね要素がある

このゲームはローグライクなので1プレイ毎に成長した、集めた部分はリセットされますが、アイテムや銃自体のアンロック(アンロックしないとそもそも迷宮で手に入らない)、NPCの救出、裏ボス(過去ボス)到達への条件等、かなり多くの要素が繰り返し遊ぶことで解禁されていく仕組みになっています。1回目のプレイより100回目のプレイの方が多くの要素が解禁されており、遊び方の幅も広がっているのです。

腕が上がっていくことが実感できるバランス

基本的に難易度が高めではあるのですが、プレイ毎に着実に自分が上手くなっていくことが実感できます。難しすぎて気持ちが折れるわけでもない、でも簡単には乗り越えられないというちょうど良いラインのレベルデザインです。無双したい人には向きませんが、ソウルシリーズとか遊べる人は続けられるでしょう。

とんでもない量の銃、アイテム、シナジー、そして個性

かなりの量があります、コンプリートとか目指したら3桁時間は余裕でかかるのではないでしょうか。一部似通った効果のもの、完全上位(下位)互換のものもありますが、全体的には個性的でかなりバリエーションがあります。特にシナジーが凄いですね、特定の銃やアイテムを組み合わせると発生する効果なのですが、とにかく数が多い上に種類も豊富です、未だに見つけていないシナジーがどれだけあることやら。

無限の可能性のダクトテープ

ダクトテープというアイテムが存在し、これは「元にした銃に別の銃の特性を組み合わせる」ことができます。特定の武器の掛け合わせ+シナジー効果とかで噛み合うと本当にとんでもないことにもなったりします。

隠し要素の多さ

基本的な遊び方は「5層クリアを目指す」というものですが、ゲームの真の目的は「過去を始末する」ことで条件をクリアすると5層クリア後に過去に飛び、キャラ毎にボスと戦えます。それ以外にも隠れた層があり、全部周ると1プレイ10層になるのですよ、倍だよ倍。しかもその上6層と隠しボスも存在します。

手抜きではない解説文

これだけの数を用意してあるというのに、それぞれに対する解説文が非常に丁寧で、しかも面白い。真面目に解説するところはしていますが、どちらかというとジョーク寄りな内容の方が多いです。

モードを変えるとまた違った楽しさに

最初からできるわけではありませんが、祝福モード、タイムアタックモード、チャレンジモード、ターボモード、レインボーモード等のルールを変更する要素やスピードを変える要素があり、それらを複合的にONにすることもできますのでまた全然違ったバランス、プレイフィールに生まれ変わります。私はターボ&レインボーモードの組み合わせが好きで、大体これで遊んでいますね。

賛否両論

オマージュ要素や悪ノリのかたまり

ボーダーランズほど下品なわけではありませんが、かなり広範囲に多くの作品のオマージュが存在していますが、やはりゲームと映画のネタがかなり多い印象(すっごいマニアックなものもある)。機能や性能、シナジー効果まで元ネタに準じていて、例えば十字キーを投げつける銃は波動拳コマンドに対応していたりします。

ただ、こういったものは人によっては嫌悪感を覚えるかもしれませんし、リスペクトと言っても結構悪ノリ感に溢れているので、ダメな人にはダメだと思います。とは言え、わかりやすいものはともかくとして、あまりにもマニアック過ぎて、そっち方面に見識がないとオマージュとすら気づかないものも多いでしょうけどね。

運による振れ幅はそこそこ大きい

正直腕が上がってしまうと相当引きが悪くなければクリアできてしまいますが、そうでない場合は、基本の難易度が高い分かなり運に左右されると思います。全然強い武器がでない、とか、弾が補充できなくて後半で初期武器攻略を余儀なくされる、とか、部屋と敵の編成が明らかにおかしくてそこだけ難易度跳ね上がる、とか。層毎にボスがいるわけですが、そのボスも各層3体からランダムに選ばれ、その強さにも差があります、2層でアモコンダ、4層で大司祭を引いたら泣いていいよ。

引きが悪い時はクリアは諦めて、何かしらのアンロック要素を目指してそれを達成したらさっさと終える、とかしても良いと思います(勿論即リスタートでもいい)。慣れてくると悪い要素が3~4つ重なったぐらいなら腕で乗り越えられるようになりますから、それまではある程度「良い引き」を選別してクリアを目指すほうがストレスが少ないでしょう。

悪いところ

ラスボスのドラガンくん弱いっすね

5層のボスなのですが正直むっちゃ弱いです。5層に置いては各部屋攻略の方が大変ですし、ボスまでたどり着けたなら正直完全初見でパターン一切わからないとかでない限り勝ち確でしょう。最終的にはシナジーとか銃の試し撃ちの相手になります。もうちょっと「壁」として君臨していてもよかったような気が、素の強さの時点で4層のハズレ枠(大司祭)以下ですし。

一応条件を満たすと上級ドラガンとも戦えるのですが…こちらは隠しボス並の強さなのでなかなか手応えがありますよ。

過去ボスも弱いっすね…

キャラ毎に設定されたボスであり、一応真の目的として設定されているわけですが、悲しいことにそれが弱い。過去キャラは装備の持ち越しができず、固定で戦うのもあって弱めに設定しているのだとは思いますが、5層クリアまでできて、かつ過去に渡れる条件をクリアした人ならほぼ初見でクリアができるのではないでしょうか。

拾う前にアイテムや銃の名前を参照したい

流石に性能まで見れるように、とは言いません、せめて名前ぐらいはポップアップしてほしいです。これが顕著に影響するのがレインボーモードで、レインボーモードをオンにするとダンジョン内で一部のアイテムと銃が拾えなくなる代わりに、各層スタート時に複数のアイテムと銃から1つだけ好きなものを選べます。で、地面にばらまかれている状態で選択するわけですが、グラフィックだけで判断する必要があるのです。そこそこの時間遊んではいますが、それこそ数も膨大、グラフィックも小さいので正直見た目だけで判断するのがかなり難しいです、似た見た目のものもありますしね(特に銃身が長い系の武器は未だによくわからん)。それも含めてレインボーモードの難しさだと言われれば何も言い返せませんが。お店みたいに上に乗ったら名前が出るだけでいいのです、その機能が欲しい。

ちなみにこのモードだと高レアなアイテムや銃を簡単に入手できるので、クリアできない人への救済にもなります。確かに武器の見た目で判断できないと選びようが無いわけですが、一部存在するバランスブレイカー系と汎用性のある便利系だけ覚えて、1層スタート時にバランスブレイカー系を引くまでリセマラすればいいのです。で、次の層から覚えている強武器、強アイテム、強シナジーを引いていけば簡単にクリアまでいけます、5層どころか6層(弾丸地獄)と真ボスですら簡単に屠れます。弾さえちゃんと補充できれば。

本当にどうしようもない運ゲーなときもある

6層(弾丸地獄)で初期銃以外全部弾切れとかどうしろと?

おやっさんの吹き出して店のアイテムが隠れる

各層に必ず店が1つ存在するのですが、そのおやっさんが入店時に喋ります、そして吹き出しがアイテムに被るのです。何が嫌って、タイムアタックやっていると吹き出しが消えるまで視認できないのが無茶苦茶ストレスになるのですよ。

マスクデータが多すぎる

アイテムや銃に置いては一応解説があるもののその中だけでは明らかになっていない、あるいはそもそも書いていないというのがあります。ダンジョン内の祠も祈った時に何が起きたのかわからないものも多いですし、それ以外にもプレイヤーに影響を与える「呪い値」「クール値」というのもあり、これが今どれだけの値になっているか、そもそもどういう条件で増えたり減ったりするのか、それがどんな影響を及ぼしているのか、一切ゲーム内の情報ではわかりません。

銃の性能とかは「使って覚えよう!」でも構わないとは思うのですが、そういうのが困難な要素でマスクされてしまうと本当に気づかないです、シナジーも数が膨大過ぎ&効果が分かりづらいものもあり、正直調べないとどうにもなりません。なので基本は攻略wikiを適時見るようにして把握したほうがよいですね。

コントローラ操作に若干のハンデを感じる

私はSwitchとsteamで持っていて、Switch版を先に買って進めてしまっていたのでそちらがメインなのですが、3Dシューターのようにキーボード&マウスに比べてハンデを感じタイプのゲームです、2Dなのにね。瞬時に正確に狙いを定める、リモコン弾の発射後の弾を操作、指定の場所にテレポートするアイテム(ドッジロール差し替え)、任意の武器への瞬時の切り替え、ドロップリロード等一部のテクニックあたりがどうしてもPCでの操作に追いつかない感じがありますね。

総評

何度も遊びたくなるゲーム性と要素で釘付けにし、気がつけば上手くなっているというある種理想形の2DSTG

ローグ系のゲームは基本プレイヤーの「知識」が上達要素なのですが、2DSTGやアクション要素が絡むとそこに「腕」という要素も追加されます。アーケードスタイルの2DSTGやアクションは積み重ねる要素が無いか少なく、でもクリアするには何度も遊んで腕を上げつつパターン化をしなければいけない、というところがあって、ゲーム自体の攻略やスコアアタック的なところに魅力を感じなければ今の時代どうしてもハードルが高くなりがちなのですが、繰り返しプレイすることがゲームの遊ぶ幅をどんどん広げることに繋がるので「気がついたらたくさん遊んで上手くなっていた」が体験できるゲームです。

全方位型でアクション要素もある2DSTGなので、そのスタイルだけで言ったら「どこが入門用?」と言われてしまうわけですが、「狙う、撃つ、避ける」がはっきり体感でき、「パターン化」によって安定していくことが理解でき、リトライが苦痛になりづらい設計、ゲーム性になっていて、展開先が豊富でハードと環境を選ばず、しかもお値段もお安いときたら、「最初に触ってみる2DSTG」としてはもはや満点と言えるのではないでしょうか。

このゲームで2DSTGの基本的な部分に楽しみを見いだせた人には、ぜひとも他のタイトルにも触れてもらいたいところです。