【レビュー】夢島リメイクがびっくりするぐらい原作に忠実な内容だった話

ゲーム

みなさんお元気ですか?私はたちの悪い風邪を引いてしまい、2週間ほど咳と鼻水がとまりません。最初の一週間はずっと熱もあってなかなかしんどかったです。ちょうど出張直後の発症で、タイミング的に春節と被りコロナウイルス貰ったのではないかとヒヤヒヤしておりましたが、検査ではインフルもコロナも出ませんでした。

さて、今回レビューするこのゲーム「ゼルダの伝説 夢をみる島リメイク」。私の青春が詰まっております、というのはちょっと言い過ぎか。でも子供の頃遊んだゲームの中でもかなり色濃く記憶に残ったゲームの1つです。じゃあなぜ発売日に買わなかったのかと言われれば…価格がね…ちょっと…強気すぎないかなって。んで暫くしたら楽天ブックスで初回限定版が安売りしているじゃありませんか、ということで手にとったわけです。

いいところ

あまりにも忠実すぎるリメイク

本当に殆どの要素がグラフィックと音楽を今風に置き換えた当時のゲームまんまなのです。細かな演出とかも含めて「ああ~そうそう、こんな感じ」が最初から最後までずっと続きます。

やりやすくなったアクション操作

原作のゲームボーイ版はボタンの数の少なさから、頻繁にA、Bボタンに割り当てるアクションを切り替える必要がありましたが、煩わしい部分は全て解消されています。Rボタンで盾、Lボタンでダッシュ、Bボタンで剣、そしてXとYに各種アイテムアクションです(Aは調べるボタン)。当時の唯一の難点と言えるべき操作性がクリアされているので非常に快適であります。

ダンジョンマップが見易く

各エリアの形や繋がり等がぐっと見易くなりました。

クレイアニメ+ジオラマのような特徴的なグラフィック

ゼルダといえば今はリアル路線かトゥーン路線の2方向に分かれているので、ここに来てこのデザインと世界観はどうなるのかと思いましたが、非常に良い方向に作用していると思います。画面の奥側のピントがぼやけているのもジオラマ感があってとても良い。

マップのスタンプ

地味なことですが、後にならないと取れないアイテムとかがあちこちにあるゲームなので、そういった場所をマーキングできる、というのはそれだけでも大変助かるわけです。

デートイベントの細かな変化

マリンちゃん可愛い!鶏をいじめていると発狂するとかそういう要素は元々ありましたが、ランダム発生だったのか回数で確定になっていたり、一部エリアに行ったり、オブジェクトを調べるとイベントが発生したり…あと、フィールドや山のBGMが全部アレンジに置き換わるのですよ、これ地味に神要素。

ワープゾーンが増えました

結構欲しかったところにちょうど追加されている印象で、フィールドの移動がかなり楽になっています。

オカリナでマンボウ池以外にも飛べる

原作ではオカリナワープはマンボウ池限定でしたが、今作では設置されているワープゾーンの好きなところに選んで飛べるようになりました、かなり神要素。

カナレット城の二階から飛び降りれる場所が追加

むっちゃ細かいことですが嬉しかったので。

モンスターのテコ入れ

盾が常に構えられるようになったこともあると思いますが、一部モンスターはきっちりガードしてから出ないと攻撃が通らなくなっていたりします。それ以外にもボス群も行動パターンや攻略法は変わっていませんが、全体的に強さが底上げされていますし、難易度の基準が新しいアクションに合わせてあると感じます。

服の色を戻せる

DX版では一度服を着替えてしまうと戻すことができませんでした。今作は選べる服は1色で変わりませんが、元々の緑の服に戻すことには制限がありません。

ハードモードの存在

原作で遊びまくった人には、今作は全体的に物足りない内容にはなってしまうのですが、だからこそハードモードを推奨したい。最初からこっちで遊ぶのがちょうど良いと思います。

賛否両論

BGMのアレンジが…

これは本当に主観になってしまいますが、個人的にアレンジの方向性が微妙です、良かったのはマリンデート限定BGMぐらいかな。元々このゲームの曲はメロラインが印象的で強いので、それらが引っ込んでしまっていてパンチが無いように思えます。まぁ電子音ベースの音楽をアレンジすると微妙になってしまうことが多いのはしょうがないですね。最初からオーケストラありきで電子音に落とし込めるすぎやまこういち御大とかが凄すぎるのです。

あまりにも忠実すぎるリメイク…故に…

アイテムの位置、謎解き、モンスターの行動パターン、あらゆるものがほとんど原作と同じなため、ありがたい反面記憶だけで全て終わらせることができてしまう悲しさ。まぁあれなのです、子供の時本当にやりすぎてしまったこともあって、各種攻略は勿論、ハートのかけら、秘密の貝がらの位置、わらしべイベントの順番等全部暗記できてしまっていたのですよ、遊んでみて自分でもびっくりだぜ。

クレーンゲームが変わりました

ミニゲームのうちクレーンゲームだけ攻略法が変わりました。ベルトコンベアの位置も違いますし、そもそも物理演算を使っていることで掴むのに最適な位置やタイミング、ボタンの押す長さ等全部違います。仕様を変えてきたことは高評価、でもなぜこれが賛否両論なのかというと、その物理演算が…ね…。

パネルダンジョンが空気

「オリジナルダンジョンが作れるよ!」て言うとテンション上がりそうなイメージもあるのですが、実際やってみると空気。この要素必要だったかなぁ。やり方というか実装の仕方次第でそこそこ化けた気がするのですが…。3DS全盛期ですれ違いが流行っているときにこれがあればまた違ったのかもですね。

ジャンプ関係のアクションの挙動

殆どが原作と一緒、ではあるのですが、細かな動作まで再現しようとするとやっぱアクション部分の仕様が違います。ほぼ許容範囲ではあるのですが唯一ストレスだったのがジャンプ関係です。着地の硬直が長かったり、制御が難しくなっていたり。スイスイ~と連続でジャンプできたところがうまくできなかったり、空中制御が若干シビアになっているように思えます。

駄目なところ

剣の入手がBGMとリンクしていない

これね、本当に無能、駄目。最初に海岸で剣を拾ったときに、原作ではBGMに合わせて回転斬りモーションが入るのですよ。それが今作になるとBGMと関係ないタイミングでやってしまう、非常に悲しい。小さなことですがあの瞬間すごい気持ち良いのです。わかってない、わかってないよスタッフ。

人魚のブラが…

なんでネックレスにしたぁぁぁぁあああああああ!!!くそったれええええええ!!

まぁ今の時代しょうがないのかな、て思ったりもしますが、でもお礼にウロコ貰えるときの演出変わってないんだぜ、そっちのほうがなかなか際どいと思うのですけど。

キーコンフィグがない

原作に比べればずっと操作がやりやすくなったのは事実ですが、素振りがB、アイテムがXY固定というのは実は地味に操作がしづらいです。特にこのゲーム、普段は大体ロック鳥の羽(ジャンプアイテム)をどちらかにセットしている人が殆どだと思いますが、ジャンプと素振りが同時にやりづらいのです。できることならYを素振りにしてBにジャンプを割り当てたわけでして。

そもそもオプション項目がない

最近のゲームならBGM、SE、VOICEの各種音量バランスとか、メッセージ速度とか弄れてもいいと思うのですよね。

処理落ち

本体のスペックとの兼ね合いではあると思うのですが、ちょくちょく処理落ちして60fps切ります。すごいリッチなグラフィックだとか、携帯モード限定で起きるとかならまぁ許容範囲なのですが、このグラフィックで据え置きモードでも起きるってのはちょっとなぁという印象です。

物理演算必要?

正直処理落ちの原因こいつが作っている気がしないでもない。草が揺れるとか、切ったときの落ち方とかそれぐらい?一番活用されているのがクレーンゲームではありますが、非常に意味不明な揺れ方をします。おそらくですが、クレーンで拾うアイテム群の重量がかなり軽く設定されていて、ちょっとの接触や揺れ判定で大きく動いてしまうのだと思います。ただこれのせいで、ガッツリクレーンの中心にアイテムを合わせて掴んでいるのに、なぜかアームの内側で暴れて落ちてしまう、なんてこともしょっちゅうです。

全体的に物理演算がマイナス方面にしか作用していないように感じます。

写真屋さんがない

基本原作のカラー版(所謂DX基準)のリメイクになっているのですが、それならなぜ写真屋さんを削除したのか、と。アレ自体結構ボリュームがありましたし、集めるのも楽しかった記憶があります。

ボリュームと価格設定

本当に個人的な感想ではありますが…。昨今の様々なゲームと比較すると「うーん、強気やね」という印象。追加要素も本当に些細なもので、ボリュームとしては当時の原作とほぼ変わりません。それのリメイクがこの価格、となるとなかなか厳しいものがありますね。

総評

「安心できる完成度」の内容だと思います、原作ファンも(殆どの要素において)裏切っておらず、思い入れが強い方でもおそらく大丈夫でしょう。でもなんだろう、「原作愛を感じるのにところどころ愛を感じない」、「丁寧な作りなのに変なところで雑」という同時の感情を持ってしまいます。全体で見れば本当によくできているのに「なぜここで手を抜いた!?」「なぜここを再現していない!?」という本当にピンポイントの部分が、枝葉ではなく結構大切な部分だったからなのだと思います。 減点評価だと点数が下がるのですが、加点評価だと高くなるタイプのゲームです。厳し目の評価になっているのは原作を遊び過ぎ&記憶しすぎていたことに多く起因するでしょう。

特に原作知らない今の若い子が初めて手に取るには殆ど気にならないことばかりでしょう。ただ、逆に昨今のゲームに慣れていると演出の淡白さやボリュームの少なさが、当時のプレイヤー以上に気になってくるとは思います。ゼルダシリーズとしてはBotWという怪物ゲームの次の作品というのも逆に辛いかな…。

クラシックな謎解きゼルダとしては非常にとっつきやすく、全体の難易度も低めなため初めて触る場合もおすすめできる作品です、とはいえ、BotWで初めてゼルダに触れた人は、スケールやボリュームの落差やゲーム性の違いは納得してから手を出すべきですね。