【レビュー】昨今のオープンワールドの良いところの詰め合わせ、アサシンクリードオデッセイの話

ゲーム

最近は自粛空気は薄れてきている感じがしますよね。私自身も普通に外出とかはしております。ただ、人混みかつ会話が多いような場所は今でも避けています。外食の場合でも狭い居酒屋等は利用せず、空間が広いor個室系、とか。

ウイルスが弱毒化しているとか、アジア系は耐性があるとか、なんか色々と話しが出てきていますが何れも確証はありません。1つ言えるのは普通の風邪よりずっと厄介で、致死率はインフルより低いが特効薬が今も存在しないということ。これだけでまだ警戒するに当たる恐ろしさだと思います。

さて、ここ最近は小粒なタイトルのレビューが続きましたが、久しぶりに大型AAA級のレビューでもしようかと思います。基本大型タイトルはボリュームが凄いので頻繁に書けるほどすぐ終わらないのです。

概要

長く続くアサシンクリードシリーズの(執筆時点での)最新作です、もうヴァルハラ発売しますけど。元々あったゲーム性はある程度引き継ぎつつも前作オリジンズからオープンワールド化し、飛躍的自由度が上がっております。シリーズに触れたことが無い人は「オリジンズとオデッセイに限っては、ウィッチャー3やスカイリムやブレスオブザワイルドが楽しかった人はきっと楽しい」とざっくり捉えてくれていいと思います。

ストーリーはシリーズで全て続いていますが、基本単独作で1つの話は完結(というかなんというか)しますし、オデッセイは時系列的には1よりも更に前の話に当たるのでこれだけ遊んでも特に問題はありません。また、小説等のスピンオフ作品も多く、全ての話の流れを理解するにはシリーズ作をゲームだけ遊んでいても不可能なので、あまり気にしすぎないほうが良いと思います。

あと、都合上過去シリーズ作にあった要素も書いていきますのでご容赦を。

良いところ

非常に造り込まれたギリシャの世界

舞台が紀元前のギリシャ、アテナイやスパルタと言った単語にピンッと来る方はツボでしょう。別に私は考古学者ではないのでこの世界観が実際正しいのかどうかはわかりませんが、少なくともよく研究しとても丁寧に造られていることは遊ぶだけでもわかります。

OPでいきなりレオニダスとスパルタ兵が出てきますよ、映画「300(スリーハンドレッド)」とか好きな人は非常に楽しめる世界設定でしょう。

隅々まで探索したくなるフィールド

こういうところを見ると確実にオープンワールドゲーは新たなステップへ進んでいることを実感できます。だだっ広いというスケールだけのものではなく、マップを見て「あそこ行きたい」「ここにはなにかあるかも」という期待を裏切らないようになっています(裏切られることもあるけど)。

依頼で敵兵士の砦に向かっていたら→小型船が浜辺に停泊していたから何となく拝借し→海にサメがいたので追いかけて→別の浜辺に洞窟を見つけたので探索してみたら→野党の基地になっていたので殲滅し→地上に戻ったら自分を狙う賞金首に待ち伏せされてた!なんてことも。

美しく広大な大海原

海の表現が超キレイです、勿論泳げるし潜れます(息が続く間だけ)。大型船は大陸間移動の他、敵船を沈めるための武器を積んでいてアップデートすることで強力になり、船員をスカウトして増やしたり副船長の適任者を見つけて就任させたりすることでより強いバフをかけることができます。

小型船はそこら辺に転がっているのを拝借するわけですが、海のサメを狩ったり、近くの沈没船付近まで寄る時とかに使いますね。この「海周り要素」の造り込みもまた素晴らしい。

NPC一人ひとりのクエストが濃い

クエスト1つ取ってもちゃんと依頼者にその目的と背景が有り、プレイヤー側の選択肢によってその後の行動も変わります。また、特定のクエストは更にそこから展開が派生していき、さながらウィッチャー3のような濃密さです。

絶妙にライトでテクニカルなアクション

オープンワールドゲーはアクション面がイマイチなことも多いのですが、シリーズとして培った財産が生かされた「簡単でありながらもそこそこテクニカル」なアクションです、オリジンズ以前とは大きく異なるのですが、それでもやはりアサクリらしさはあります。多少癖はありながらも操作が反映しやすく軽快な動作で、ボタンと操作の組み合わせでできることが多く、ボタン連打の繰り返しとか、弾いて攻撃するだけー、みたいな単調な戦闘にはなりません。

経験者であるなら「カジュアルなソウルシリーズのようなアクション」的な表現で通じるかもしれません。難易度ノーマルぐらいまでなら、大量の敵の中に突っ込んでも無双できます。ハードより上は出来ないことは無いかもしれませんがかなり厳しそうです。

スキルツリーによる戦い方のバリエーション

スキルツリーは3つ、「ハンター、ウォリアー、アサシン」です。職業として存在しているわけではなく、レベルアップによって手に入るポイントを自由に割り振って好きなツリーを好きなタイミングで伸ばしていけます、割と汎用性の高いスキルはどのツリーも下部に置いてあるので満遍なく伸ばして万能キャラもいいと思いますよ。

ハンターは主に弓を使った遠隔攻撃の強化、ウォリアーは純粋な近接戦闘力の底上げと便利スキル、アサシンは暗殺能力の強化と一部の探索向けスキル、という風に分かれているので、自分がどのスタイルをメインとして進めるかで伸ばし方も変わってくるでしょう。

鷹の目による透視能力

相棒である鷹を飛ばすことで、ある程度自分に近い距離を俯瞰で見ることが出来ます。またこれにより敵の位置やレベルが把握でき、一度鷹で目視してしまえばキャラ視点に戻っても敵の位置を透視出来ます。これを利用した暗殺プレイが非常に楽しいですよ。また、宝箱等の大きな報酬オブジェクトも鷹の目で位置を記録できます、便利。ゴーストリコンの近作にも同じようなシステムありましたよね。

どこでも掴めるしどこでも登れる

オープンワールドとしてこれが可能になったのはBotWが初ですが、アクションとしてはアサシンクリードシリーズの方が早いですよね。オデッセイでもその資産は生かされており、壁だろうが柱だろうが何でも掴んで登れますし、ポールをジャンプして渡ったりとやりたい放題です、パルクールですね。また、壁に取っ掛かりがあれば優先的にそれを掴みに行ったりと造り込みが細かくリアリティもあります。ちなみにスタミナは無いので無限に登れます。

不注意による落下死は起きない

アクションボタンを押さない限り「踏み外して落ちる」なんてことはありませんから、どんなに際どいアスレチック的な場面でも不注意で死ぬなんてことは起きません、バリ親切。

ハクスラ的な装備要素

これがオリジンズ以前との大きな違いの1つでもあります。装備にランダムのオプション性能がついているため、所謂ハクスラ的な楽しみ方ができるわけです。弱い装備も鍛えることで強化が可能なため、レベルが低い装備が無駄になる、ということもありません。

賛否両論

R-18な描写とシナリオ

別にエロいわけじゃないです、グロ描写とか含めた直接的な表現がありますし、シナリオも生生しくて全体的に大人向けです。

主人公は固定

所謂「ロールプレイ」が楽しいゲームではなく、あくまで主人公を追う第三者視点が楽しい、という感じです。2人の主人公どちらかを選ぶ形で、キャラメイクは無いのでご注意を。

まぁウィッまチャー3はゲラルト、BotWはリンクと、これらも固定主人公でしたからね。一応主人公の選択肢や行動次第で状況が変わっていくので、固定キャラであることが気にならないのであればロールプレイできないわけではないのかな?

ファストトラベル先は限定的

どこにでも行けるわけではなく、特定の「高いところ」がシンクロできる場所として設置されていて、その場所で一度シンクロしておけば飛べるようになる、という感じです。マップ全体の広さから考えると若干心細い量ではあります。一部のエリアはなぜかシンクロ場所が不便な場所に少量しか無く、足を運ぶ頻度も劇的に落ちてしまいます。

ただ、どこでも飛べるタイプのファストトラベルは探索や移動の楽しみがスポイルされがちで、結局線と線を結ぶだけの移動になりがちなのでなんとも言えないところですね。

大型船の管理は若干めんどくさいか

人によるとは思いますけどね。ここにまでカスタマイズ要素があるとちょっと胃もたれするかな?というのが私の感想です。まぁ所謂今作における拠点的なところですし、メニューからいつでも操作ができるので煩わしさというのはないのですが。

あと単純に海戦がちょっと好みではないです。避けたりするテクニカルな要素が殆ど無いですよね、基本船と装備を鍛えてゴリ押しというか。そして敵の突進の精度の高さにイライラ。

傭兵は(互いに)高精度GPS付き

自分含め、傭兵は世界のどこにいても高性能なDPSが搭載されているので居場所を把握できます(会ったことがある相手のみ)、うーん…つまらない。コスモスの門徒(いわゆる敵組織)とかはちゃんと相手の情報を収集しないと居場所が判明しないのになぜ傭兵はいついかなる時でも場所がわかるのでしょう?

探す手間が省けるという意味では楽なのかもしれませんが、懸賞金制度と合わせてなんか腑に落ちません。

懸賞金は犯罪が見つかった瞬間からかけられる

プレイヤーが殺人や窃盗を行うところを誰かに見られた場合、その「瞬間」に懸賞金がかけられます。その情報は世界中に1秒以下の速度で広まり、賞金稼ぎの傭兵にも伝わり高精度GPSの機能もあってあっという間に自分のところにやってきます。いやーリアリティの欠片も無いですね、ゲーム的と言えばそれまでですがあまりにもシステマチックで気分が悪いです。

ステルス要素のあるゲームなわけですから、犯罪を見られても「口封じ」が出来たっていいじゃないですか。そもそも見られた瞬間に遠くの出資者に懸賞金をかけられるって、どうやってその情報を離れた場所に伝達したのでしょうか?

一応自分が傭兵狩りをしたい場合、わざと犯罪を見られるようにして傭兵がやってくるように仕向ければ自分から足を運ぶ手間が無くなるのでデメリットばかりというわけではないです。

暗殺しても敵は生きているぞ

このゲームは「RPG」なので、暗殺が成功しても自身の火力が足りなければ倒せません、体力が減るだけです。装備やレベルをちゃんと鍛える必要がある、という意味では良いのかもしれませんが、反面「明らかにレベル帯が高いところに特攻し、暗殺だけで立ち回って殲滅する」なんて飛び級プレイが許されないのがちょっとつまらないかなーと思っています。

絵面的にも、寝ている敵兵に対して脳天に槍突っ込んでるのに体力半分しか減らないとかなんでやねん!てなりますよね。

良くないところ

馬が遅い

移動手段の1つとして馬があるわけですが、正直そこまで速いわけではありません。また、マップの造り込みにより高低差がそこそこあり狭い場所も多いのですが、そういったところにはどうしても入っていけないのであくまで大雑把な移動手段に限定されます。

ファストトラベルもシンクロ場所限定であって、探索目的で無くなると若干移動がダルくなります。BotWだと馬は速かったですし、パラセールでかなりの移動距離をカット出来たのでどうしてもプレイ中の移動に取られる時間は多くなりますね。

あと船も遅いです。いや、多分スピードは出ているのでしょうが、移動距離があるからね…。

パルクール的アクションはたまに引っかかる

どこでも掴めてどこでも登れる、というのは非常に良いことなのですが、100%全てのオブジェクト面に対してその判定になっているわけではないようなので、壁に張り付いて左に移動したいだけなのに、ちょっと左斜め上の出っ張りを掴んだ、とか、左側のポールに飛び移りたいのに右側の壁を這ってしまった、とか、そういった微妙な操作に対する精度の悪さがあります。

オープンワールドと一本道シナリオの相性の悪さ

操作ができるようになった瞬間から好きなように動き回れるベゼスダ系、始まりの台地さえ終われば好きに動き回れるBotWとは違い、基本メインストーリーを追うことで徐々に行ける範囲が広くなっていくタイプです、全体マップ自体はかなりの広さではあるのですが、この仕様のせいであまり世界の広さを実感できません。

一応チュートリアル的な最初の一連のメインクエストをクリアすると一気に広がりはしますが、それでもメインストーリー進めていかないと行けないところは多いですからね。

クエスト関連じゃないとレベルが全然上がらない

メインやサブのクエスト関係のクリア報酬にかなりの比重が置かれていて、所謂モブ刈り等で経験値を稼ぐ、というのがほぼ非現実的になってしまっています。経験値稼ぎの方法が画一的なのは正直好きではないですね、まるでリリースして時間が経ったオンラインゲームのようです、やらされている感が非常に強いのですよ。

総評

色々なオープンワールドゲームの良いところを優等生にまとめつつ、シリーズ作の資産も有効利用している非常にバランスの良い傑作、ただし目新しさはない

やっぱUBIだな~と思いますね。ディビジョン2のレビューでも書きましたが、ここは大体60~80点ぐらいのゲームを出してくるのです。正しくこのアサシンクリードオデッセイはその筆頭でしょう。全てが高水準で非常に丁寧で素晴らしいゲームなのですが、これと言った目新しさや尖った要素は無いですからね。ただ、トゲがなくマイルドなゲームはそれだけ誰が遊んでも面白い、とも言えます。他のゲームのレビューに比べても記事全体短いでしょ?熱弁するようなところが無いのです。

あ、1つ特化したものがありました、それこそギリシャの世界観。あの雰囲気の世界を旅したい人は特におすすめしたいですね。

わたしのように時代時代を象徴するゲームをガンガン遊んでいる人には新鮮味が薄いわけですが、このシリーズやオープンワールド系のゲームに触れていない人が触ると感動の嵐になること請け合いです、このゲームは特にBotWとウィッチャー3の影響を強く受けていますが、後発な分前者二つより遊びやすいところも多々あります。また、オープンワールド慣れしていると自由に動けないのがストレスになるかもしれませんが、そうでない方は逆に進行に合わせて開放されていくほうが目的が迷子にならず助かるかもしれません。