【レビュー】2Kとgearboxのサービス精神が旺盛なのでボーダーランズ2の評価をしつつ布教したい話

ゲーム

現在このシリーズは「初代」「2」「プリシークエル(外注開発)」の3つが出ていますが、2019年4月4日に大きなアップデートがありました。初代についてはGOTYバージョンのリマスター+幾つかのシステム改善を(PC版購入組には無料配布、CS組には販売)、2とプリシークエルは4Kテクスチャーの無料配布です。かなり太っ腹ですね。

世界的にはかなり大ヒットしていますが、日本ではイマイチ振るわなかったタイトルでもあります。私個人としては非常にツボにはまった良いゲームですし、3の発表もあったのでこれを期に記事にしてみました。

なぜ「2」なのか

単純に一番完成度が高くてお勧めできるからですね。初代も良く出来ていますが荒削りな部分も多く、予算が少なかった感がプレイしていても感じ取れます。プリシークエルは外注開発、かつ2をプレイしている事が前提レベルのストーリーで、単体というより2の大型DLCみたいな側面が強いです。とりあえずこのシリーズに触れるのなら「2」が一番適しています。

良いところ

FPS & RPGという組み合わせの面白さ

当時はシステムがRPGに寄ったFPSというのは珍しく、また「撃った時にダメージ表記があるぞ!」というのは日本人的には心踊る部分があったのではないでしょうか?グローバル的には純RPGでも「数字表記」というのは避けられ気味な時代ではありますので…ちなみにここの開発は日本のRPG好きみたいなんですよね。昨今では成長やキャラビルド要素のあるFPS、TPSは珍しくありませんが、それらと比べてもゲームバランスがかなり「RPG」に寄っていますので、シューターが苦手でもそこまで絶望的ではありません。

個性抜群の世界観

唯一無二、というわけではなく、言ってしまえば「北斗の拳」や「マッドマックス」です。荒廃した世紀末、命の価値が軽い世界観ですね。そこに特有のノリの軽さやブラックジョークをこれでもかと詰め込んだシリアスコメディというなんとも不思議な雰囲気になっています。カートゥン調のグラフィックもリアル系とは一味違い、アメコミのような線の濃さがまた噛み合っています。合う人にはがっつり合いますよ。

様々なパロディネタ

映画、アニメ、ゲームと色々なジャンルの小ネタをこれでもかと突っ込んでいます。勿論元ネタを知らない人には伝わらないレベルのものが多いわけですが、信じられないほど多いので何かしら「あ、これもしかして○○のネタじゃ…」というのはプレイ中きっと見つかります。攻略Wiki等にパロネタ一覧とかありますがなかなかの数ですよ。

声優の本気を感じ取れ!

基本字幕で洋画を見る私でも、このゲームは吹き替えで遊びたい。とにかく声優の力の入り具合と翻訳の丁寧さがハンパないです。特にパロディ関係は「こうしないと日本人には伝わらないだろうな」という内容のものは非常に上手に改変していて、英語版より日本語版の方が楽しめる範囲が抜群に広がるでしょう。

NPCが一癖も二癖も

まともな性格の人間が存在しません、大体どこかのネジが取れています、「いや、このキャラはまともだったじゃん?」いいえ、まともに見えてやっぱり変なところがズレています。

ヒールキャラが超魅力的

このゲームは最初からラスボスがわかっていてそいつを追いかけるタイプのストーリーなのでネタバレにはなりませんが、悪役である「ハンサムジャック」がもうそれはそれは良い具合に「悪役」で魅力たっぷりです。残忍でえげつない行為を平気で行うという面を持ちながら、臆病で脆弱、その上敵であるプレイヤー(主人公)に逐一通信を入れてきては雑談や自分の近況報告を行うという構ってちゃん、ただの「悪」ではなく人間味に溢れています。進行上でプレイヤーに「嫌悪感」を植え付ける事に全力を注がれているので、倒した時はスカッ!とするはずです。

キャラクターとビルドによってスタイルが変わる幅広さ

キャラクター毎に大雑把な得意な戦い方が決まっていて、かつ覚えられるスキルは固定されているのですが、その組み合わせで戦い方がかなり変化します。言い換えれば万能キャラは育成できません。簡単に言えばトリガーハッピーなキャラは暗殺&近接特化のキャラに近距離攻撃の強さは敵わない、的なところですね。

豊富な武器種とトレハン要素

基本はハンドガンやアサルトライフル、みたいな王道の武器種なのですが、そのOPによる特性や属性によって運用方法が様々に変化します。また、ランダムOPが付加され、レアリティにより強さが分類され、ユニーク武器も存在します。いわゆる「ハムハムしたい層」にとっては武器堀りの楽しさがあるわけです。

エフェクトが気持ちいい

アサルトやSMGで敵を撃った時のダメージ表記や、ボスを倒した時のドロップアイテムのジャラジャラ感、基本プレイヤーが快感を覚えやすいエフェクトをしていると思います。

2週目以降からが本番だ!

1週ではカンストまでレベルをあげるのは現実的ではなく、最高レアの武器も手に入りません。1週はストーリーを楽しみ、2週目からキャラビルドやトレハンが本番になってくる感じですね。1週目(ノーマル)→2週目(TVHモード)→3週目(UVHモード)となり、特にUVHモードは色々な補正がなされていて、戦闘の立ち回りも含めて別ゲークラスに変化します。非常に寿命が長いゲームです。

レイドボスっょぃぉ

所謂クリア後の「裏ボス」ですが、正直結構やり込まないとソロで倒すのは難しいでしょう、COOPの方が楽。とにかく強いです、良い武器を拾っても使う相手がいないとつまらないですよね?そんな人はこのレイドボスに挑みましょう。ちなみにとあるレイドボスのミッションの説明文は「ひと狩り行こうぜ!」。

賛否両論

オンラインCOOPがとても楽しい…が

内容がバカゲーですので、要は友達とヒャッハーすると最高に楽しい!わけですが、システム的に色々と野良で遊ぶにはきつい仕様です。発売当初ならともかく、今だと経験者がガンガン進んでしまい、せっかくのストーリーを楽しむ余裕がありません。また、ドロップが共有なのでアイテムも奪い合いです、世界観的には合っているんでしょうけどね。良い人と当たれば関係ありませんが、基本野良で遊ぶことはあまり想定されていないんじゃ無いかな、て感じでシステム周りがあまり合っていません。

レベル補正がきつい

このゲームには自分のレベル、武器レベル、敵のレベルがあるわけですが、とにかく「レベル」の補正がきついです、それでも初代よりだいぶマシになったんですけどね。それこそ自分と敵、武器と敵のレベル差が3〜4も開けば固すぎて、ヘッドショットしまくっても時間がかかるみたいな極端なバランスです、属性相性によってはある程度戦っていける武器もありますが。低レベルユニークより適正レベルの通常レアの武器の方が強いのも普通です。経験値も相手のレベルが1〜2下になるだけで激減ですね。

ストーリーも一本道なところが相まって、1週目は特に「(成長要素も含めて)開発が想定したレールに乗せられている感」が強いわけですね、まぁ長いチュートリアルだと思ってもらえれば…。

悪いところ

所持制限がきつすぎる

レベル差補正のきつさから見ても、基本ゲームデザイン自体が「どんどん武器を更新していこう」的な考え方なのでしょう。それならなぜトレハン要素を入れた?という…。とにかく武器の所持制限がきついです。手持ちが少ないのは持ち運びに置ける取捨選択の面白さがあるからまだいいとしても、まずまともな倉庫が無い。各キャラで共有で利用できる倉庫とキャラ固有の倉庫が序盤に解放されますが、共有は4つまでですし、固有倉庫も手持ちバッグより容量が少ない。あの…これトレハンゲーなんじゃ…?

低レベルで拾ったユニークを思い出として取っておきたいとかあるでしょう、コレクションしたい欲もあるでしょう。また、武器の種類も豊富で属性もあるので、念のためこいつは取っておきたいとかもあるでしょう。そういった部分が一切許されない心細さです。基本的に最初から最後まで手持ちバッグ&倉庫と拾う武器の取捨選択を強いられることになります。

合わない人にはとことん合わない雰囲気

最初に世界観には触れたので軽く流しますが、特徴的な世界観にグロ、パロのオンパレードです。キャラグラフィックはアメコミ風で日本的目線で「可愛い」女キャラはいません、「かっこいい」男キャラは見方と好みによってはいるでしょう。とりあえず万人受けなんてカケラも狙っていないでしょうねこれ。

走っていると勝手に喘ぎ出す

なぜ疲れさせた?スタミナの概念なんて無いのに。しかも結構音量がでかいんですよ…。女キャラ使えばご褒美かもしれません。男キャラ使うとゲーム中の殆どの時間はムサイ喘ぎ声を聞き続けることになりますね。あ、それも人によってはご褒美か。

音声の音量差、音質差

割と洋ゲーの吹き替えにはよくあるのですが、明らかに別環境だろってぐらい音質が違ったり、セリフの音量差が酷かったり、ということがあります。このゲームも例外ではありません。

字幕が小さい

これは環境にもよると思いますが、CS版をTVで遊んでいると人によっては小さくて見辛いかもしません。

正規の金額で購入しづらい

喜ぶべきなのかどうなのか…このゲーム、PC版もCS版もセール常連タイトルです、しかも割引率半端ない。Steamで安い、というのは多くのゲームに該当するのでまぁいいとして、PS4版のダブルデラックス(プリシークエルセット)でも、セール時には70%オフとかよくやってます。割引率で多少異なりますが、大体セールがあれば1500円前後で買えますね。

総評

世界観、パロディ、グロ要素ととにかく人を選びますが、それを差し引いてもこの翻訳クオリティの高さは一見の価値あり。システムやレベルデザイン面では荒削りな部分、ピーキーな部分はあれど、ちゃんと理由があってコンセプトにも準じています。FPSを求めるとレベル差補正による制限、RPGを求めるとシューターのスキルが求められて辛いと感じるところもあり、見方によっては中途半端なのかもしれませんが、両方楽しみたい欲張りさんには相性が良いゲームでしょう。

余談ですが…私、毎回レビューの最後に「人を選ぶけど」みたいなこと書いていませんかね?そういうゲームばかり遊んでいるのかしら。