今更なんでこのタイトルなんでしょうね、もう5も発売してだいぶ経ち、来月には新作のIron Rain(IR)が発売するというのに。本タイトルは、何度かダウンロード版のセールは行われていましたが、2019年3月のフリープレイが解禁されました。試しに久しぶりに起動してオンラインに繋いだら盛況っぷりに驚いたのがこの前の事です。本当に大好きなタイトルで、でも周りにはEDF入隊希望者がおらず、折角フリープレイになったのだし新作前だし、ここでいっちょまとめてみるかと書き始めたのがこの記事。気が向いたら5も書いてみようと思います。
ちょっと語らせて
元々はPS2の「SIMPLE 2000」シリーズでした。初代は兵種もレンジャー1つ、ミッションも40ちょっとと少なめ、味方もおらず、処理落ちと戦いながらただ黙々と、迫り来る大量の巨大な虫を打ちまくるだけの本当にシンプルなゲームでした。2になってペイルウイング(現ウィングダイバー)が実装、ミッションも大幅に増え、敵種もフィールドもバラエティ豊かになり、SIMPLE 2000のゲームとしては破格の面白さとボリュームのタイトルとして、一部のゲーマーに隠れ良ゲーと評価されていました。
そしておそらく転換期となった3、xbox360というマイナーな機種での発売なので本当にゲーマーしか遊んでいなかったでしょうが、投稿されたプレイ動画が大きな販促となってメジャーなタイトルに昇格しました。ニコニコ動画全盛期ということもありかなりの影響力があったのでしょう。内容は1のリメイクにバランス調整や新規要素追加等のものだったので、ミッションは2より減っていましたし、ペイルウイングもいなかったのですが、今後EDFの面白さの中核の1つとなる「やたら五月蝿い味方」が実装されました。これにより、申し訳程度のストーリーと黙々と打ちまくるだけのゲームに、昔の怪獣映画のようなクッサいノリや演出、ストーリーのドラマ性、NPCとの共闘による高難易度攻略のシミュレーション性が増したのです。以後のシリーズタイトルはこれをベースに兵種やNPCのセリフの追加やバランス調整等を繰り返し進化していく形になります。
私は何を思ったのか、前情報もなく「これはきっと面白い!」と直感で初代の1を購入し、その時からこのゲームのシンプルで、かつ手応えのある戦略性にハマりました。また、操作方法にノーマル操作とテクニカル操作があり、テクニカルの方は今は当たり前ですがR2で狙撃するという、パッドTPSやFPSの基本スタイルを踏襲していて、マウス+キーボードでPCでこのジャンルを遊んでいた私としてはパッド操作の面白さに目覚めたキッカケでもあります。
いいところ
ただ虫とエイリアンを撃破するシンプルな面白さ
「細けぇことはいいんだよ!」的な、昔のファミコンゲームを思い出すようなシンプルさ、枝葉がどうとかという話ではなく、ゲームとして面白いと感じる「中核」の部分にひたすら情熱と努力が注がれています。操作すること、攻略することが単純に「楽しい」と感じられるというのは優れたレベルデザインが成せる技ですね。
圧倒的な爽快感
一昔前に「無双シリーズ」が流行りましたが、言ってしまえばこれは「虫無双」です。大量に湧いてくる巨大な虫を駆除しまくる爽快感は本家のシリーズとはまた違った爽快感があります。重火器を使うところや、派手なエフェクト、相手が「巨大」であること等が独自性として生きていて、パクリというわけではありません(というより、そもそもの時点でオリジナリティがありすぎるゲームですし)。
幅が広く、かつ綿密に練られたゲームバランス
このゲームはEASY〜INFERNOまで5段階の難易度がありますが、だいたいこんな感じに区分けされます(個人的)。
- EASY – ゲームというもの自体に慣れていない、コントローラの扱いがおぼつかない人向け
- NOMAL – TPS初心者、無双したい人、アーマー稼ぎとかしたい人向け
- HARD – 稼ぎ無しでスタートして一番手応えと爽快感のバランスが良い、程よく難しい
- HARDEST – トライアンドエラーを繰り返して攻略したい、戦略シミュレーション
- INFERNO – 攻略ロジック、エイム力、武器まで完璧に揃えて、尚苦戦して喜びたい
「TPSって遊んだことないんだよね〜」て人から「何度も何度も何度もトライ&エラーを繰り返して攻略法を導き出し、クリアしてヒャッハーしたい」という生粋ゲーマーまで満足できる幅広さ。
個人的にはHARDESTが一番このゲームの面白さがわかる難易度だと思います。最初は「こんなん無理だろ!一瞬で溶けるわ!」みたいに感じるのに、遊んでいればクリアできる、やり込めば初期アーマースタートでだってできちゃう、というレベルデザインの調整が本当に素晴らしいの一言。INFERNOもやり込めばクリアできるのは共通ですが、結構運が絡む場面も出てくるので…。
(良い意味で)安っぽいストーリーラインと男臭い演出
ちょっと昔の怪獣映画や特撮のような演出や、なんだかんだ熱い展開と、まさしく「男の子ってこういうの好きだよね〜」を地で行くような、後半の展開は「これでテンション上がらなかったら男じゃねぇぜ!」ていう要素をぶっこんだ感じです、男の料理です。声優の演技も非常に力が入っていて良い。
そう、これはかつて、父親が日曜日のお昼に作ってくれた不器用なチャーハン。
とにかく豊富で面白いNPCのセリフ、しかも結構頼りになる
フラグ立ててるだろ、ていうセリフや、ネタにされ続けるような癖のある名言・迷言満載です。どことなく吹き替え洋画の日本語のような言い回しも多く、とにかく飽きさせない。勿論真面目にかっこいいセリフもあります。
そしてこのNPC、高難易度では生かして一緒に戦うのが不可欠なほど重要です。デコイとしての機能は勿論、きちんと戦ってくれるため「どうコントロールするか」が攻略の鍵になってきます。スパイスとしてだけでなく、存在がちゃんと生きているのが良いですね。
兵種により面白さがガラッと変化する
3はレンジャーだけでしたが、4でペイルウイングがウィングダイバーとして復活、他にエアレイダー、フェンサーと、4つの兵種があり、それぞれで攻略法も操作感も全然違います。レンジャーを使えば純粋なTPSに近いゲームになりますし、ウイングダイバーなら3次元的な動きをして空中殺法、エアレイダーは遠距離支援と乗り物でヒャッハー、フェンサーは複雑操作で自分に酔いながらハイスピードアクションシューティングです。
オンラインCOOPで面白さがガラッと変化する
オンラインでは最大4人で共闘することができ、敵の耐久値もオンライン用に変わります。使える武器種やアーマー値にも上限が設けられているので、下手だからアーマーを増やしまくったり、先のミッションで強い武器を手に入れて…ということが基本できません(一応やり込むことで上限解放することはできます、詳しくは後述)。
適正な状態でオンラインの仲間と協力しあって打開して行く面白さがあります。また、NPCの効果やゲームの空気感もあってか、他のCOOPゲームでは無言なプレイヤーも、このゲームでは騒がしくなる傾向があります。とにかくチャットが賑やかになりがちです、とりあえずみんなよく歌いますね。
豊富な武器種と様々な活用法
各兵種毎にかなりの量の武器種があります、とは言っても、同じ武器の上位互換が高難易度でドロップする、とかの類でもあるので、数ほどバラエティ性はないのですが、それでもこの手のゲームの中では非常に稀有でしょう。持つ武器によって同じミッションでも攻略法が変わる、相性によって持ち替える、というのは勿論、一見ネタ武器でも組み合わせで強くなったりと。無論全てが完璧というわけではなく、本当に使えないレベルで調整ミスっている武器もちょいちょいあります。
チャットがやりやすい
オンラインが賑やかなのはこれもあると思います。タッチパッドを指でなぞると8方向に好きなセリフを割り当てられるので、戦闘中でも一瞬で定型文を書き込めます。また、その定型文もちゃんと意思疎通を取るためのものからオフザケまでと、かなり豊富に用意されています。
十字キーを使って全ての定型文から選ぶこともできますが、これは戦闘中は難しいです。
賛否両論、後継作で改善されたところも
アイテム集めがひたすら地味でめんどくさい
敵を倒した時にドロップするアーマー、武器、回復薬は、プレイヤーが直接触れなければ手に入りません、非常にめんどくさいですね。広いマップに沢山の敵、それからドロップするアイテムも広範囲に散らばる上、敵を全部撃破すると強制的にミッションクリアですから「最後に1匹だけ残してアイテム回収タイム」というのが通例となっています。…が、これはゲーム的にははっきり言って「無駄」に感じる面が大きいです。トレハンゲーみたいに拾った瞬間に判明するわけでも無いですし、そのドロップにカタルシスを感じる演出やエフェクトも無いので、拾う時間に楽しさを見出だすことはできません。
ただ、回復薬に関しては、あえて回収しないというのが高難易度では重要になるので必要なので、一概にこの仕様がダメ、とも言えないのが難しいところ。ただまぁ、ミッション中は今の仕様のままで、クリアしたら落ちているアイテムを自動回収するようにすれば、回復周りのゲーム性は損なわずにアイテム拾いの煩わしさは解消されますよね。
アーマー上昇値の低さと兵種毎の独立仕様
高難易度でも極力ダメージを受けずに…というのは上手いプレイヤーができる話で、大抵はアーマーを稼いで多少は耐えられる体力を用意してから高難易度へ臨みます。が、とにかくアーマー上昇値が低いんですよね。1個に対しての上昇量が兵種毎に違うのは戦闘スタイルの違いでもあるので全然良いのですが、その絶対値がそもそも、というお話。上がりやす過ぎてもつまらなくはなりますが、上限設定で自分で縛れるのでもうちょっと緩和してもいいと思うんです。アイテム集め自体のめんどくささや、兵種毎にアーマーが独立している仕様も相まって「放置稼ぎ+2P同時プレイ」とかが行われる現状、ある程度の稼ぎはゲームのスパイスになりますが、プレイヤーが一切関与しない放置系が普通に行われるバランス、というのはあまり良いものだとは思っておりません。
初期アーマー高難易度縛り(あるいはスタート)プレイに対しての難易度低下の懸念とかあるのでしょうか。ただそうだとしても、例えば「EASYのみアーマー上昇値2倍」とかにしておけばいいですよね、どうせアーマー稼ぎは低難易度でしかやらないわけですし。
武器が完全にドロップ運頼り
武器を集める手段が「敵を倒してドロップ箱を取得する」以外に一切無いので、とにかくひたすら掘るだけです。目的の武器を手に入れるために何十時間費やすとか割と普通にあります。まぁハクスラトレハン系なら普通のことなのですが、このゲームは難易度が天井な訳でも無いし、固有OPがあるわけでもありません、ディアブロとかとはゲームとしてのジャンルは違いますし、求められるものも違う。また、INF攻略には必須になってくる武器もチラホラとあり、それらが手に入らないとおそらく攻略完遂もできないでしょう。
序盤〜終盤まで、一定数明らかに稼ぎを推奨するようなミッションがありますが、これは意図的なものだと思います。武器集めやアーマー稼ぎの救済措置ですね。
オンラインのアーマー、武器レベル制限解放の条件がマゾイ
これね、「ミッションを70%クリアする」てやつなんですけど…ちょっときつ過ぎます。EASY〜HARDESTまであるわけですが、複数の難易度を周回しなければいけないので。「HARDESTを2兵種コンプリートで解放」とかでよかったんじゃないかなぁ…。
ミッションの多さによる中弛み
数が多いのはいいことですが、水増しミッション、似たようなミッションも結構あり、繰り返しの作業感、を感じる場面が色々と出てきます。が、水増しと似たミッションを削ったら半分ぐらいになりそうだな…という懸念も。一応通信関係でストーリーが進行するので、そういったところで差別化はしていますが、元々その面は薄味なゲームなので…。
地底が暗すぎる
ライトが当たっている部分しかほぼ見えません。爆発物や火炎放射器等、明るくなる武器種だといくらか改善されます。視界を奪われる恐怖感や光る武器の有効活用、といえばそれも1つのゲーム性ではあるのですが、如何せん暗すぎる。
誤爆やフレンドリーファイア要素のアレコレ、要はNPCのAI周り
誤爆や自爆自体の要素は非常に良いと思っています、強い武器でも近くで撃ったら危ない、とかゲーム性に貢献していますしね。ただ、遠くを狙っている最中の射線にNPCがいきなり横切る、とか防ぎようがないじゃないですか。ただまぁ…両立するのが難しい、というか無理な部分ですよねぇ、一応難易度毎にダメージ割合減少があるので、開発側も頑張った結果の仕様だと思っています。
ただ、基本NPCは自分の指揮下に入れると基本プレイヤーの「前」に陣取ろうとします。例えばこれを「フェンサーは前」「レンジャーとダイバーは横(同じ位置)」とか、兵種毎に立ち位置を変えてくれれば多少マシになるのではないのでしょうか。欲を言えば、それらの挙動をオプションでざっくり弄れたり、戦闘中の方針をいくつか選択できたり(ドラクエの作戦のようなもの)すると、より戦略シミュレーション要素が増して嬉しいのですが。
悪いところ
虫
これね、私はなんとも思いませんが苦手な人もいると思うのでこちらに書いておきます。敵の描写が中々にグロいです。リアルとは違うというか、スプラッタコメディみたいなノリなので生々しさは無いのですが、巨大な蟻、蜘蛛、ハチが現れて、撃てば気持ち悪いSEと共に体液ブッシャーですからね。
虫が苦手な人は絶対に一度公式なりプレイ動画を見ましょう。
敵がオブジェクトに引っかかる
よく地形に引っかかっています、現状のアイテム回収の仕様だと利用できる面もあるのですが、すごく離れた場所に倒しに行くめんどくささがあったり、酷いと移動範囲外、オブジェクトに埋まっていて爆発物でないと届かない、とかあって、その場合はクリア不能なので再出撃を余儀なくされます。これ、仕様というよりバグに近い現象です。
敵が迷子になる
基本アクティブ(プレイヤーを認識して襲ってくる状態)であれば向かってきますが、たまに迷子になる奴がいます。これも大体クッソ離れたところをうろちょろしているのでめんどくさかったり、マップ外に出てしまっていて持っている武器種によっては撃破不可になってしまったり、と、まぁ同じようにバグ的な現象ですね。
オブジェクトを貫通する攻撃
クモの糸、お前だー!
高難易度ではビルや物陰、フィールドの起伏等を利用して攻撃を避ける重要性が上がってくるのですが、一部の敵の攻撃は、位置どりによってはオブジェクトを通り抜けてたまに貫通してきます、どうしようもないです。シリーズ重ねる毎にマシになっている感があるので、意図と言うよりプログラム的な問題で起きているような気がします。
エフェクトキッツイです
このゲーム、エフェクトがクッソ派手です。レーザー系を正面から照射されたりすると、画面真っ白になったりします、見えません(それを食らわないように立ち回る、というのも1つのゲーム性ではありますが)。高難易度になってくると一瞬の行動の遅れで死んだりもするので、エフェクトに関してはオプションを設けてもらいたいものです。画面振動やイベント注視のオンオフがあるので、もうちょっと!もうちょっと!
処理落ち
サンドロット開発のこの手のゲームは「処理落ちしてなんぼ」というところがファンにはあります。ハードスペックが上がっても、それを使い切る美学でもあるのかだいたい処理落ちさせてきます。ですが、正直無ければ無いに越したことはありません。処理落ちが派手さの演出のプラス要素に働いているところも、全く無いわけでは無いんですけどね。
グラフィックはいまいち
これはしょうがない、だってマシンスペックを物量とエフェクトに全振りしているんだもの。とは言え、美麗グラフィックのゲームに慣れてしまっているプレイヤーには「うわ、しょっぼ…」と感じてしまうところはどうしてもあるでしょう。
オンラインの部屋の仕様
及第点、て感じです、お世辞にも優れているとは言えない。特に昨今のマルチプレイタイプのゲームを触っていると少し時代を感じてしまうかな、とも。部屋のソートができない、検索もやりづらく目的の部屋を探しにくいです。
あと、部屋がミッション遂行中だったら途中参加できる仕組みとかあると、より気軽でいいですねぇ、MHWの救難みたいな感じ?
総評
昨今の大型AAAタイトル等と比べれば要素も少なく、グラフィックもしょぼく、ストーリーも薄く、演出も少ないわけですが、シリーズを通して思うのは「続編になってもコンセプトや軸がブレない」というところです。世界観やプレイフィールもそうなのですが、コンセプトに準じる部分に全てを注いでいるというか、悪く言ってしまえばそれ以外は雑でも良い、というか。ただそのおかげで、根本的な「ゲームの面白さ(操作、攻略、成長、収集)」を感じさせてくれます。開発側や声優さんもおそらく楽しんで製作しているんだろうなぁ、というのが伝わってきますね。
フルプライスではありますが、感覚としてはインディーゲームに近く、一貫して「職人魂」みたいなものが存在しているゲームです。スタッフロールを見ればわかる人数の少なさよ。人はむちゃくちゃ選びますが、刺さる人にはとことん刺さります。
購入、ダウンロードした人はオフで遊ぶのも良いですが、是非オンラインへ。普通のマルチプレイ系、COOP系とは違う、馬鹿げたノリでロールプレイしている人が多くて楽しいですよ。