気がついたら今年もあと1ヶ月を切りました。歳をとる毎に1年がどんどん早くなっていきます、怖い。仕事(自営業)のことや独身であることに対して、毎年「このままでいいのだろうか」と自問自答するようなことが増えてきた年齢です。
さて、先日Switch / Steamで発売されたこのゲーム、移植なので新作ではありません。なのでちょっとレビューするか迷いましたが、まぁ売上も上々みたいですし、当時遊んだ記憶を引っ張り出しながら、今プレイしてみて改めて思ったことやら何やら書いていくのも良いでしょう。
概要
元々はPCゲームである「rogue」、それを模倣して作られたのがSFCの「トルネコの大冒険」になります、「不思議のダンジョンシリーズ」としてはこれが初作品ですね。そしてそれを更にブラッシュアップしてオリジナルIPとしてスタートしたのが、同じくSFCの「不思議のダンジョン2風来のシレン」になります。
その後このシリーズは様々な機種で展開し、現在本家が5Plusまで、外伝としてGB1とGB2とそのリメイクやシリーズ登場キャラであるアスカが主人公の「アスカ見参」がありますね。ファンの中ではNintendo64で発売したシレン2、WindowsXP時代にPCで発売したアスカ見参の完全版の評価が非常に高いです。しかしどちらも入手困難な作品となっているため、現時点で難なく購入できる中で一番評価が良いのはこの5Plusではないでしょうか。
この記事では一応過去作で既に実装された要素も含めて評価項目に入れています。また、私自身このSwitch版が初ではないため、記憶を引っ張り出して評価しているところもあります(Switch版ではまだ原始に続く穴とかクリアしていないですし)。
良いところ
何より本家シレンシリーズであること
不思議のダンジョンは色んな派生もあり、フォロワー作品も生まれていますがやっぱりこの「本家」という強みはあるでしょう。シレンの世界観やキャラクターに思い入れがあるかどうかでもこの重要性は変わってくるとは思いますが。
ドット絵なので(見た目的に)古さをあまり感じない
例えばPS2の3Dゲームとかをリマスターして持ってきても、やはりモデリングに時代を感じてしまったりするものです。このゲームはドット絵なのでそもそもの作品のリリースタイミングとかあまり関係ないというか、グラフィックの1つの方向性のジャンルとして確立してしまっているので特に現世代のゲームと比べて見劣りする、とかいうところもありません。
完全版故の大ボリュームと(良い意味で見合わない)価格
DS無印→Vita→追加DLC→ひっくるめて今回の移植、という感じなので相応にボリュームがあり、全ダンジョンコンプリート制覇してやるぜ!なんて思ったらどれだけの時間を要することでしょうか。
持不(持ち込み不可ダンジョン)や特殊ダンジョンの難易度バランスが良い
5Plusが界隈で持ち上げられている大きな理由の1つでもあるでしょう。これ以前のシリーズ作、これ以降のフォロワー作品群と比べても非常に難易度バランスが秀逸です。これに関しては細かいことを言うとアイテムの効果と相互関係とか、モンスター出現テーブルの関係とか凄く色々突っ込んでいかなければいけないのでガッツリ省きますが、ギリギリのサバイバル感、ひりつく緊張感を覚えつつ、理不尽に感じないラインを攻めてきている感じです。
プレイ時に感じる「面白さそのもの」で比較した場合、評判の良いシレン2やアスカ(裏白蛇)の方に軍配を上げる人も多いと思いますが、単純なバランスの良し悪しで言ったらシリーズ随一じゃないですかね?
装備の成長システム
これまでだと装備は基礎値固定で、プラス値を稼ぐことでしか強くすることができませんでした。今作でもプラス値は勿論続投で、新たに「武器の成長システム」が搭載されています。
武器は攻撃することで、盾は攻撃を受けることで固有の経験値が溜まっていき、最大でレベル8までアップします。レベルアップの過程で基礎値が上昇し、付与できる印数もアップしていきます(最大レベルではどの装備も印数は無制限になる)。
また、全ての装備各段階で固有の名前を持っているので、単純に成長させるのにワクワクするという嬉しい要素もありますね。
固有印も成長する
今までだと最終的に基礎値が大きな装備に印を移植するのが最適解でしたが、今作ではその装備固有の印は装備の成長に合わせて伸びていく仕様となっています。特定の条件でダメージを割合カットするタイプの盾は、別の盾に合成する場合はあくまでレベル1時のカット率になりますが、盾そのものを成長させていくと、レベルに合わせてカット率が上がっていきます。
この仕様は特に持不での装備構成を一変させる面白さで、様々な装備の組み合わせを考えることができます。…まぁ大抵拾えさえすれば「昼の盾」安定になっちゃうわけですけど。
装備の共鳴システム
対応する武器と盾を一緒に装備すると共鳴することがあります(例としてはカタナと鉄の盾)。共鳴はその装備の組み合わせによって様々な種類があり、わかりやすいものとしては通常時は腕輪は1つしか装備できませんが、共鳴によって2つ装備できるようになる組み合わせがあります。
腕輪は壊れません
初代のように固定のアクセサリ枠としてずっと装備しておくことが出来るようになりました。頻繁に付け外しする手間ともおさらばです。強力な効果を持つからこそバランスへの影響は大きいわけですが、実際良い方へ作用していると思いますので問題なし。
新種道具の作成
既存の道具を窯に入れてリアル時間(こちらの世界の時間)を経過させることで新種の道具を作ることが可能です。これが本当に無茶苦茶強力なのですが、文字通りリアル時間を使うのでプレイしまくったから良いものが出来るというわけでもないですし、能力ガチャなので単純に運勝負です。
窯に入れたアイテムは1日毎にランダムで1~3つの能力が付与されます。最大で7日まで入れておくことができるので、その間に引き上げれば新種道具として生まれ変わります。欲しい能力が付与されないからと言っても7日超えると消滅するので注意。
元々強力な透視の腕輪とかに呪いよけとか睡眠よけとか状態異常耐性をつけてより盤石に、みたいなこともできますし、一時しのぎの杖に場所替えの効果をつけて自身が即階段へ移動する杖を作ることも可能です。
賛否両論
ライブUI
賛否両論には置きましたが、これは単に「プレイヤーサイドにとってはそこまで大きなメリットはない」というだけで、基本はあって良かったものでしょう。色々な情報を一覧で見れるのはありがたいことですが、アイテムとかは殆ど壺に入ってしまいますし、それ以上に拾ったもの、持っているものは大体記憶しちゃいますよね。
あくまで「生放送時の視聴者に対して」特化した機能なので、これがあるからプレイが劇的に快適になるんだ!なんてことは全くありません。
ストーリーダンジョンの難易度は若干高め
ダンジョン最後半でもモンスターのレベルは基本2ですが、今のモンスターレベル2>=初代のモンスターレベル3ぐらいの強さにはなっているのでなかなか厳しいものがあります。また、ボス自体がそこそこ強めで対応策を知っている状態でなければ帰還を繰り返して装備強化をしていかなければまず倒せないでしょう。
多少難しめと言ってもいい塩梅ですよ、後半道中の「探索するか即降りするか」迷う感じの難しさが絶妙。ボスに関しても「状態異常は効くが直ぐに復帰する」という仕様なので異常系の搦め手が完全な無駄にはならないのです。異常復帰でターンを稼いで仲間NPCをうまく活用するとか、すばやさ草で相手のターンに行動を差し込むとかできますしね。
初代の魔蝕虫みたいなガバガバ耐性なボスもある種不思議のダンジョンらしかったですが、全く状態異常が通らない完全な地力勝負しか手段が無いような安直な調整も嫌いなので、今回のような仕様は程よい手応えだと思います。
ストーリー自体は空気
「風来人」が主人公のゲームらしいと言えばらしいですが印象に残りさえしないかもですね。個人的にテーマ自体は好きです。一人の若者が不治の病の恋人の運命に抗う(というか変えようとする)て内容で描写そのものに何か力が入っているわけではないのですが、不思議のダンジョン系のゲーム性とちょっとリンクしている感じがするのです。
大戦犯夜システム
賛否というか多くのプレイヤーにとって否だとは思いますが…。昼とガラッとゲーム性を変えたいというところがあったのだとは思います、ただその方向性と匙加減があまりにも駄目だった…少なくとも4の時点では。
5は全体的にモンスターの攻撃力もマイルドなので夜でもいきなり即死というのは少ないですし(とは言え深層、一部の火力バカ、レベル上がった相手には即殺されますが)、かつ夜になるダンジョンがストーリー含め限定的なのでそこまで強要はされません。簡易的に攻略したい人は「おいでよ混乱波+感電波」で行きましょう、2ターンでフロア中のモンスター全滅です、100%安全というわけではありませんが。深層では確殺出来なくなりますが、+αで対応する技を使えるようにしておけば大抵の状況に対応できる万能の組み合わせです。
個人的に夜は不利な要素が多すぎるのが問題だと思っているので、松明の使い勝手向上(見える範囲自体の拡大、外しても消えない等)、巻物は松明の光で読める、技の使用回数回復はもっと手軽な手段(持ち物欄を圧迫しない押す壺とか良いのかな)、とかの緩さでも良かったと思いますけどね。
能力インフレに対して能力インフレで対応するバランス
モンスターの持つ固有能力が全体的に強めです。レベル1の段階から「え?そんなえげつないの?」てものや、2つ以上特徴を持つモンスターというのもちらほら増えてきています。モンスターテーブルも結構厳し目ですしね。
それに対してこちらは「装備自体の調達や強化のしやすさ=印のつけやすさ」や共鳴、同じように追加されたアイテム等で対応策を取りやすくする、というインフレに対抗してインフレして帳尻を合わせるようなバランスのとり方です。…これで腕輪が従来のように壊れていたらきつすぎる。
若干力技にも感じ取れますが、結果的に非常に良好なバランスにはなっています。が、プレイフィールとしては「過去作以上に一瞬で窮地に陥るケースが増える」といった感じでしょうか、そりゃあモンスターが全体的に強力になっていればそうでしょうね。
装備の乗り換えはし辛い
成長システムによりその時の最大印数が増えていく仕様上、鍛えきってモリモリ印を付けた武器を別武器に移植したい、となった場合、移植先も印が消えないレベルまで成長させておく必要があります(大抵最大でしょうね)。装備にもよりますが、最大のレベル8に上げるのはそこそこ時間を要しますので「今使っている装備より強いやつ出たから乗り換えよう」をすぐに実行できません。
仲間は弱い&行動パターンの変更(指示出し)はできない
仲間も経験値によってレベルが上がり、シレンと違ってリセットされません(なのでいつかはマックスになる)。ただ、マックスでも大して強くないのです。キャラ毎にステータスがあるので高めな仲間もいますが、それでも深層では完全にお荷物になります。
また、仲間の行動パターンはそれぞれ固定で変更したり指示を出したりはできません。基本的にシレン側が仲間に合わせてあげる必要があります。
紛らわしいアイテムの悪ノリが酷い
既存のアイテムに似た名前で違う効果を持つものが追加されています。「やりなおし草⇔やりなおせ草」「合成の壺⇔合城の壺」「転ばぬ先の杖⇔転ばぬ先生の杖」「タグの巻物⇔タダの巻物」等ですね。寒いダジャレを聞いているような気分です。
合城の壺なんかは(この価格帯の壺が2つしかないことから)未識別での判別を難しくする要素がありますし、タダの巻物は効果そのものが全然違うからそれぞれ価値があるのですね。ただ、やりなおせ草とか転ばぬ先生とかアイテム的にはなんの意味もないわけでして(満腹度が5回復するのがありがたいぐらいか)。
最大HPが多いほどターン回復は遅くなる
従来作と大きく攻略セオリーを変えてしまった要素の1つではあるでしょう。これにより単純な話「前半は死ににくく、後半は回復手段が無いと辛い」という状況になります。
シレンシリーズの深層のダメージバランスは、正直HPは気休め程度のものでしかありません。レベルを上げまくっていても装備をちゃんとしていなければ2~4発で死にますし。ただ、多少装備が貧弱で回復手段が無くても、うまくターンを稼ぎながら逃げつつ、やむを得ない場合は対処を…みたいな攻略が出来るものでした。
今作では本当に後半の自然回復は頼りなくなってしまっているので、殴り合いで消耗したら何かしら回復リソースを注ぎ込まないと間に合いません。いやし草や背中の壺が有効活用できる機会が増えた反面、そういったものが無い時の対応策がずっと以前より大変になってしまいましたね。
これはもう完全に好みになるでしょう、良し悪しではないです。
悪いところ
あくまで移植
作品自体がずっと前のものである、という認識は忘れてはいけないと思います。ささやかな追加ダンジョン、ライブ配信UI等実装してくれてはいますが、基本は元のままなのです、当時の時点で不便だったり悪かったりしたところもそのままなのです。
価格表とかゲーム内で記録されて欲しいですね
値段識別は持不突破には避けて通れないものになりますが、大抵の人は攻略Wikiとにらめっこしながらやっていくことになると思います(慣れると暗記できますが)。ただ、ゲーム本来の楽しみ方としてはあくまで自分の「積み重ね」を活かしてダンジョン踏破するのが目的でもあるので、他者の手が入ったデータを参照するというのもちょっとグレーでもある気がします。
で、思ったのが「自身が一度売買したアイテムは価格が記録されていき、それがゲーム内で参照できる」機能を実装してくれたらなぁと。埋めていく楽しみがありますし、一々スマホやPCで価格表開く手間も無くなりますし、自分で埋める=自分でデータを集める、という意味にもなりますから。
メッセージウェイトは少しもたつく
オプションでウェイトの有り⇔無し⇔メッセージ自体無し、が選べますが、ウェイト無しにしてもログが溜まった場合少しもたつきます。離れてしまった仲間が遠くで戦っているとか、夜でモンスター同士が殴り合っているとか、特殊行動をするモンスターが多い階層で大部屋モンハウ引いたりするとかなり顕著にわかるでしょう。定期的に溶岩が吹き出す地形はストレスがマッハです、通路上でのダッシュもそのタイミングで一々停止させされるためとにかくテンポが悪い。
勿論メッセージ自体を無しにしてしまえば快適ですがちょっと味気ない。
蔵の容量が80しかない
ダンジョンから帰ってバンバン預けているとすぐにいっぱいになります、あまりにも頼りない容量。一応保存の壺にまとめてから預けることで節約できますが、保存の壺自体今作だと最大で5のためそこまで沢山詰め込めるわけではありません。「このアイテム使うかもしれないから余分にとっておこう」をやっていると壺を使ってもすぐ埋まります、使わない武器や防具をコレクション目的で入れておくと圧迫するのであまり推奨もできません、それなら価値の有る道具を沢山溜め込んだほうが良いので。ていうかそもそもその「壺にまとめる」というひと手間がめんどくさい。
壺メインで預けるようになった段階では「預ける」「引き出す」コマンドを使っての利用は非常にテンポが悪いので「整理する」コマンドで一括で行うようにしましょう、このコマンドが無かったら本当にボロクソ言っていたぞこれ。
拠点間の移動が自由にできない
最初の「イノリの里」と「ネコマネキ村」は相互に行き来できますが、ストーリーダンジョン途中で立ち寄る「仙人の庵」や「すずめのお宿」は、瞬時に行くことは出来ても帰ってくることができません。帰りたければ脱出の巻物ややりなおし草を持っていき使う必要があります。 別に両方とも貴重なアイテムではありませんが、手間として考えれば無駄でしかないしょう。
これ自体はシリーズ共通というかずっとこの仕様なのですが、フォロワー作品がこういうところを解消してきてしまっているので気になってしまいますね。各拠点で買い物や装備強化ができる=ノーリスクで移動ができるとそれらのループ利用が可能、という点で制限している可能性はありますが、そんなものは別にフラグ管理にして冒険に出た上で出入りしないと機能しないようにすれば済む話。
仲間の状態確認は-(マイナスボタン)を押す必要がある
単純にワンアクションの手間ですよね、従来のシリーズ作のように話しかけた時の会話内容でざっくり把握することもできますが。DSだと2画面というのもあってそういった不便さは無かったですし、1画面でもフォロワー作品で収めて表示できてしまっているものがあるのでね…。
新種道具の削除やオンオフができない
強力な装備や道具が作れるこの機能自体はとても良いものですが、一度作ってしまうと自動的に図鑑に登録され、自分の意志で削除ができません。最大で64個までなので、上限を超えると上書きが出来るようになります。
また、一度作ったものは以降ダンジョンでも普通に床落ちするようになり、それが固有のテーブルを持っているのです。なので普通にストーリーダンジョンの一番最初のマップとかにも落ちている可能性があります。新種道具に対応するダンジョンは一部ではありますが、その一部はこのアイテム群によって割と簡単にバランスが崩壊します。「拾わないで自分で縛れば?」て思うかもしれませんが、そうすると床落ち枠を新種道具が使ってしまい、手に入るアイテムの絶対量が下がるわけですから、結局元のバランスのまま遊ぶことはできません。
…どこかで「新種防具は薬草が置き換わっている」と見た記憶があるのですが本当なのでしょうか?だとしたらバランスへの影響はかなり小さいので、無視することで気にせず遊べるかもしれませんね。
単純に出現のオンオフ機能をつければよかっただけの話だとは思いますが…。
キャットストーン集めがめんどくさすぎる
7つ集めて「イノリの洞窟」の最下層に行くと願いを叶えてくれる、という某オマージュ丸出しな要素で、まぁこれ自体はいいでしょう別に。願い事も自由ではなくいくつか決まった選択肢から選ぶことになりますが、最強の武器、最強の防具、夜用の技、超レアな腕輪1、超レアな腕輪2と合計6回は最低でも潜ることになります。もし図鑑コンプを目指すなら更に限定の敵、乙女の壺も必要なので11回かな。
まぁ腕輪に関してはレア扱いでは有るものの他のダンジョンで手に入ったり、そもそも1つは能力的に運用することはないコレクションアイテムなので無視してもいいですが。武器と防具も共鳴効果を考えるとメインで使っている人は少なそう…ということでこれらを無視するなら最低2回でもいいでしょうけど。
基本キャットストーンを能動的に集めようとすると強力な武器防具とアイテムを満載して挑む高難易度ダンジョンか、特定のアイテムを潤沢に用意して二択屋でトライ&エラーするような形になるのでゲーム的に後半になってからです。序盤から利用できるのはあ・うん兄弟からの購入のみでしょうか。
ストーリーをクリアすると「うん」がランダムでダンジョンに行商に出かけます。どこに出かけたかは「あ」に聞けば教えて貰えるのですが、困ったことに出かけるダンジョンが「プレイヤーが潜ったことがあるダンジョン」なのです。なので色々遊んだ後半ほど難しいダンジョンに出現する可能性が高くなります。これを有効活用しようとするなら、新規でゲームスタートして他のダンジョンは一切潜らずにストーリークリアします、そうすると「うん」はストーリーダンジョンにしか行商に出かけません、一度でも願いを叶えてしまうと以降イノリの洞窟にも出かけるようになりますが、イノリの洞窟は持可でストーリーダンジョンと同程度の難易度しか無いので特に大変ではありません。
なので、願い事を後回しにしないのなら他ダンジョンは一切潜らず6回分こなすことです、まぁ非常につまらないと思います。ちなみに売ってくれるストーンの色はランダムなので場合によっては数十回買い物しても7つ集まらないこともあるでしょう、それが(最低)6回です。便利救助パスとかで以前のように任意の色を回収できるようになればいいのですが…。そもそもイノリの洞窟最下層まで行けば好きなストーン1つ貰えるとかの仕様なら良かったですね。
救難がめんどくさい
ゲーム起動後のトップメニューから救難を受け取る→ネコマネキ村に入って救難カウンターへ行く→カウンターで手続きをする→中断してトップメニューに戻り相手に救助パスを送る
ゲーム内の救助カウンターで全部手続き済ませられるようにならないの…?
殆どの共鳴効果が死んでいる
正直「腕輪2つ装備」が強すぎて他全てが霞みます。攻撃した相手を状態異常にする確率を上げる系のものもありますが、もともとが「異常が入れば儲けもの」ぐらいの確率で、それに対しての上昇幅も少ないのでその効果を主力に出来るものでもありません。他にも有用なものも無いわけではないですが、印で対応できてしまうものもちらほら。持不だと拾えたアイテムの関係で使える共鳴も出てきますが大体限定的にはなってしまいますね。
夜用の「夜でも巻物が読める」「全視界明瞭」、火の刃系の「青炎飛ばし」とかはいい塩梅かな、印でも対応できない能力群ですしね。
最強装備群が大して使えないものに…
共鳴仕様の余波ですね。シリーズ恒例の「秘剣カブラステギ」とか「剛剣マンジカブラ」とか「火迅風魔刀」とかおなじみの連中です。あとこの作品で追加された晩生武器もあります(名前かっこいいよ)。ただ、悲しいことに共鳴効果がイマイチなのです。やっぱり腕輪2つが強すぎる…。
CHUNSOFTのマップ
不思議のダンジョンはご周知の通り、潜る度にマップの形が変わります。で、スタッフの遊ぶ心で「CHUNSOFT」の文字の形でマップが生成されることがあるのです。
…字面見て貰えればわかると思いますがプレイヤーにとって不利なことが多い形です。連結部が少ないor完全な一方通行なため、ポップしたモンスターとの会敵が余儀なくされますし、中途半端な位置からスタートして進んだ先が行き止まり→逆サイドまで戻るとか無茶苦茶めんどいです。
これが低確率ならまだ許せた、割と頻繁に引くから困る。
テキスト関係の悪ノリが酷い
図鑑のモンスター解説や一部のアイテム名等の悪ノリが酷すぎますね。しかもノリが発売した当初のものなので今見ると古い。元々シレンシリーズはちょっとおふざけが入っていたりするものだったので大真面目にやれ!とは言いませんが、度が過ぎるレベルなのです。
ボーダーランズとかもこういった悪ノリ満載なゲームではあるのですが、言葉やネタ選びが結構うまいのかそこまで嫌悪感が湧きません。まぁゲーム自体がそういう世界観でまとめられているとか、英語の翻訳だからマイルドなのかもしれないとか、そもそも個人的な感覚の問題とか、色々あるのでしょうが。
総評
極端に経験者に向けた調整の作品ではなく、色々と仕様を変えながらも遊びやすく仕上げてきた決定版。様々な特殊ダンジョンもありボリュームも申し分なし。移植作品としては多少の追加要素はあるものの、UIや一部の仕様に関してはテコ入れが特になく残念な仕上がり。
このシリーズは初代の時点でシステムとバランスがおおよそ完成してしまったのもあり、後発のものは色々と仕様を変えたり追加要素を入れたりしてきているのですが基本不評な場合が多く、どんどんシリーズが落ちぶれていきました。ファンの間でも「そもそも開発がシリーズの面白さのキモを理解していない」等言われていましたが、まぁ正直私もそう思います。
過去作のプレイヤーが積み上げてきた経験や知識、セオリーをどうやって潰すか、というような方向性での調整も割と多く、また変更された仕様や追加要素が「プレイヤー側にデメリットが多いものばかり」だったというのもまた評価が下がっていった原因の1つでしょう。続けて遊び続けるプレイヤーを納得させるために難易度を上げつつ、新しいプレイフィールを提供したかったのでしょうけど3~4~GBリメイクと不評続きで、2やアスカがずっと神格化されてしまっているのも頷けます。
今作でもそういった「セオリーや経験者潰し」要素が全く無いわけではありませんし、ノリで作ったような部分が尽く悪い方へ作用している(と個人的には思う)のが気になりますが、基本マイルドでありながら新しい部分もちゃんとあり非常にバランスが良いと思います。本家のベースとしての雰囲気やプレイフィールは守りつつ「結局シレン2やアスカには敵わないんだよなぁ…」と言わせない作品になったと思います(それでもそっちの2つの方が面白いと思うユーザーは多いでしょうけどね)。
悪いところが多くなってしまっているのは、単に10年前のゲームを今の視点で評価したからというのもあるでしょう。まぁ移植でその辺り全然ブラッシュアップもしていない、となればそうなってしまうものです。
作品のリリーススパンが長いので遊びたくてもゲーム機本体がもう動かない、ソフトが売っていないという状況になりやすいシリーズです。元が10年前とはいえ一応本家としては最新作、完成度も上々で現行機とPCで遊べるという強みがあります。初心者が手を出しても泣くような難しさでもありません。値段もお手頃なので気になっている方は買っても損はしないと思いますよ。
…欲を言えば、移植前の段階で不便だったところぐらいは直してほしかったですが。
余談:ふしげんTODRを遊んでいると殆どの要素が負け
同じプラットフォームで遊べる最大手のフォロワー作品になるでしょう「不思議の幻想郷TODR」、もしこちらを先に遊んでいてしまっていると、残念ながらシレン5Plusはおおよその完成度で負けています。時系列考えればしょうがないところもありますよね、TODRの方が5Plusの7年も後ですし。タイトルで「新規にも納得できる」とか書きながら何言ってんだ?て話ですが。
UIも十分快適ではありますが、更にその上をいく独自のUIを搭載していて、持ち物の視認性や壺(スキマ)を介した整理、足元を1アクションで見ることが出来る等、操作性の違いによる慣れは必要ですが、馴染んでしまうと圧倒的なスピードと快適性になります。5Plusもカーソルを合わせれば壺の中身が見えるとか進化している部分もありますが、TODRだとそもそもアイテムカテゴリの切り替えてそれを意識すること無く中身の確認と移動ができますから…。メッセージウェイト等の細かな部分に関してもTODRの方が全体的に良好です。
初心者向け、と言う意味でも完敗。一番ネックになるロスト関係は、タグによって装備はある程度守れますが、確実に防げるわけではなく気を抜けば失う可能性もあります、アイテムは問答無用で無くなりますし。また、無くした後の回収にも一手間かかります。TODRだとそもそも「ストーリーダンジョンは持ち物自体一切ロストしない」「一度でも融合した装備は如何なることが起きてもロストしない」という手厚い仕様なので。一応TODRでもロストする条件があるのですが、狙ってやらないとそんな状況ならないんじゃないか、てぐらい限定的です。
拠点間の移動もTODRは自由にできます、アイテムを消費することもありません。特殊ダンジョンの数と内容に関しては、それぞれが仕様に則った個性あるものを沢山用意しているので甲乙つけ難し、と言ったところでしょうか。
アイテムのコレクション要素もTODRの方が上で、メインの装備を好きな装備の見た目やエフェクトに変更できるシステムも用意されています。ひたすら強化しまくってそれを活用するダンジョンも豊富ですし。というよりそこに関してはディアブロ風味なところもあり、超インフレのレベルや装備を楽しむ完全に別スタイルの部分として確立しています。
仲間もプレイヤーと同じテーブルでレベルアップしていき、4つの行動パターンからいつでも指示を出せますし、装備を付けさせることで深層でも役に立たせられます(結局お荷物になることも多いですが)。うまく活用さえすれば最初から最後までずっと頼りになるのです。
こんな感じで、1つのゲームとして見た時のプレイスタイルに対する寛容さや遊んでいる最中の快適性やストレスの無さは圧倒的にTODRに軍配が上がります。まぁ本家の場合、シリーズプレイヤーへの配慮や本家であるが故の「ベース」を崩せないという制約もあるでしょうし、そういうことを気にせず作れるフォロワーに比べると最初からハンデは有ると思いますけどね。
5Plusが勝っているところは「持不の難易度バランス」と「キャラクターと世界観のオリジナリティ」です。TODRは旧ブログで詳しくレビューしたのでもう書くのもめんどくさいですし省きますが、持不バランスはちょっと大味目です(その分難易度は低いので初心者向けと言えばこれもまた長所になってしまいますが…)。後者に関しては言うまでもないですね、二次創作ですし。それ故にモンスター群の視認性に関しても勝っています。あとシステム面も幾分かシンプルでわかりやすいかな、TODRの方が覚えることは多いです。
「どっちを入り口にしようかな?」と悩んでいる人にアドバイスするとしたら私はTODRを勧めるでしょう、勿論東方の二次創作ゲームに抵抗が無いこと前提ですが。条件として上げるなら「難易度低めで、かつユーザーフレンドリーであって欲しい、育成要素やコレクション要素が充実しているほうが良い」という場合はTODR、「ひりつく絶妙な難易度を楽しみたい、基本元のシステムに忠実でシンプルであって欲しい、モンスターはやっぱモンスターの見た目じゃなきゃ」という場合は5Plusですね。