【レビュー】数とエフェクトの暴力がPCを物理的に襲ってくるRisk of Rain 2の話

ゲーム

気がつけばもう今年も終わりですね、コロナ禍ということもあり忘年会が無く年の瀬にしてはイベントや予定が全く入らない12月でした。ただ、その代わり多分年末ギリッギリまで仕事漬けだと思います。なんかずっと忙しいです。

さて、steamのセールで安く購入致しましたこのゲーム、実はずっと前から気になっていてアーリーアクセスが取れるまで様子見をしておりました。シンプルでありながら気がついたら時間を吸われるようなタイプのゲームなので結構ヤバいです。慣れてくると1プレイも長めになりますし。

ちなみにこの記事が今年最後の更新になると思います。皆さん良いお年を。

概要

昨今インディー界隈では定番とも言える「ローグライク(ローグライト)」のTPSシューターです、ちなみに前作は2Dスタイル(Terrariaみたいな感じ)。挑む度に毎回変わるアイテムを集め、ビルドを組み強敵をなぎ倒して先へ進むという至極わかりやすいデザインとなっています。

グラフィックはトゥーン調でFortnite等で見慣れている方も多いでしょう。シューターではありますがグロ要素はありません。序盤こそゲームスピードも遅く攻撃もペチペチ地味で最初のインパクトは弱いのですが、後半になればなるほど派手なゲームへと変貌していきます(PCの負荷がやばい)。同時に強烈なほど敵も湧くようになり阿鼻叫喚です。

特徴としては「時間経過で難易度がアップする」というところでしょうか。基本1つのステージで迷ったりして留まりすぎているとガンガン難易度が上昇していき、敵の火力も数も増えていくのでジリ貧になります。必要最小限の探索、迅速なボスの撃破を心掛けてガンガン進んでいくのが基本なわけですね。一応スタート前に基準になる難易度も3段階から設定でき、これはライフの自動回復速度や時間で上昇する難易度に対する補正の調整となります。一番優しい「小雨」ならそこまで急がなくてもゆったり進められるので慣れるまでは小雨で遊ぶのが良いでしょう。

良いところ

豊富なキャラクター

最初は1人(コマンドー)しか選べないのですが、各キャラクターの解放条件をクリアしていくと最大12人まで扱えるようになります。特徴や使える特技が異なるため、キャラを変えるだけでかなりプレイフィールが変わることでしょう。それこそシューターと言いながら近接メインのキャラもいますからね。

また、キャラ毎に4つの基本武装が用意されているわけですが、チャレンジをクリアすることで更にカテゴリ毎別の武装に切り替えることができるようになります。

ビルドによって立ち回りも大いに変わる

ゲーム道中で手に入る様々なアイテムですが、単純に火力や回復力を上げるようなものから、敵を倒すのをトリガーに発動する特殊能力タイプや、自分のメイン技を別の技に書き換えるもの、攻撃にdot系状態異常効果を付与するもの、何かしらのデメリットを負うことで強力な効果を得る等かなり幅広く用意されています。

これらの効果を覚え、自身の使うキャラとどう組み合わせるとシナジーを起こすか考えながら必要なアイテムを狙って拾っていくわけです。勿論何が落ちているかは運次第なので狙ったビルドが毎回組めるわけでもなく、妥協ビルドに方針転換したりある程度臨機応変に対応していく能力が求められます。

様々なアンロック要素

昨今のこの手のゲームではお約束ですが、上記したキャラは勿論のこと、アイテム等様々な要素がアンロック式となっていてゲーム内チャレンジを達成することで解禁されます、解禁されると以降のプレイ中にランダムで入手できるようになるわけです。1回目より100回目の方がやれることも遊びの幅も多くなるタイプのゲームということですね。

チャレンジは簡単なものは死亡回数やプレイ回数等遊んでいれば勝手に達成できるであろうものから、狙っていかないとまず達成不可能なものまで様々です。

スタック可能なアイテム

これがこのゲームのキモですね、同じアイテムもスタックしていくことでどんどん効果を上乗せすることが可能なのです。なので重ねまくれば80%の確率で攻撃を完全に無効化するとか、100%攻撃がすべてクリティカルになるとか、敵を1体倒すごとに自身のフルHPと同量のバリアを貼るとかできちゃいます。

アイテムの総数自体はそこまで多いゲームではありませんが、この仕様のおかげで被りが逆に嬉しかったりするのです。

敵はひっきりなしに湧いてくる

基本的は無限ポップするのでどれだけ殲滅してもいなくなることはありません。また、序盤こそ数も少なく大人しめですが、時間やステージ移動による難易度上昇でどんどん湧く数が増えていくため後半はエフェクト等も相まって意味不明な状態にすらなります。

そして大量に集まってきた敵を範囲攻撃系で一気に殲滅するのもまた気持ちがいい。ただ、敵1匹1匹の攻撃は基本痛いバランスなので、突っ込んで文字通りの無双が出来るかと言えば「そういうビルドを完成させないと」ほぼ無理でしょう。基本は逃げながら闘うゲームです。

ルール自体を変更できるアーティファクト

これもゲームを進めて特定のチャレンジをこなすことで解禁されていくのですが、ゲームスタート前に各アーティファクトのオンオフをすることでルールを変更することが可能です。有利になるもの、不利になるもの様々で、例えば「HPが10/1になるかわりに火力が500%アップ」とか「味方も敵も互いに同士討ちが可能になる」とか「ステージを進める度にプレイヤーのキャラがランダムで切り替わる」とか。

複数同時利用も可能なので、例えば「チェストが出現しなくなるが敵がアイテムをドロップする+敵の出現数が2倍になるが体力が半分になる+アイテムを自由に選べるようになる」の3つを組み合わせると最高難易度でもお手軽無双プレイが可能です。

賛否両論

バランスとはいったい

崩壊している、というわけではなく、適切な進行を心掛ければある程度運が偏ってもなんとかなるバランスにはなっていますが、決して繊細なわけではありません。時間経過で難易度が上がるという仕様の関係上、その他ローグライク系に比べてもより運要素が強く働く印象です、単純なアイテム運以外にマップ運、ボス運の影響もありますから。

ただ、アイテムに関しては完全なランダムというわけでもありません。3つから好きなものを選べるターミナルや、スクラッパーで要らないアイテムをスクラップして、それを欲しいアイテムの3Dプリンターへ投入することである程度自分が欲しいアイテムを優先的に得られる仕組みも用意されています。勿論ターミナルもスクラッパーも3Dプリンターもランダム配置なので、出ないときはとことん出ないわけですが。

とにかくこちらのレベルや装備はお構いなしにガンガン敵が強くなっていくので、迅速にアイテムを集めてバフを盛りに盛って、理不尽な暴力に対抗できる理不尽な暴力を手に入れて立ち回るレベルデザインです。マゾゲーってだいたいギリギリの攻防でプレイヤーのストレスをコントロールして楽しませてくれるものですが、これはゲーム側が「敵が強くてストレス感じてる?じゃあさっさと死ね」と引導を渡してきます。

大体のキャラはシナジーを狙うより万能ビルドや基礎能力向上の方が有用

dotを撒きまくるアクリッドや自傷と引き換えに攻撃するREX等はシナジー効果を重視したほうが強くなる傾向がありますが、それ以外はだいたい基礎能力向上の方が安定感が上がってきたりします。攻撃速度、クリティカル率、攻撃ブロック率、移動速度等々ですね。勿論近接のマーセナリーはより攻撃速度が重要だったり、逆にアーティフィサーはクールタイムの関係上あまり攻撃速度は要らなかったり、というのはありますけど。

また、万能的な汎用ビルドというのもあります。ステラコイル、ウィルオーウィスプ、ウクレレ等の範囲攻撃中心ビルドや、燃料電池(溺死者もどき)+使い捨てランチャー垂れ流しビルドなんかはどのキャラでも構築可能でかつお手軽に強い(しかし棒立ちしているだけで敵が溶けていくのでゲーム的にはつまらない)。

アイテムが運である以上、狙ったビルドを組めないことのほうが多いわけですから、拾ったものに合わせて専用ビルドにしていくか、汎用ビルドにしていくか、と考えながらできる幅が用意されているのはとても良いことでしょう。しかし汎用ビルドが専用の特化型ビルドより大体強いというのがなかなか悲しいところではあります。慣れてきたら自分でビルドの方向性を縛らないと、毎回同じアイテムを求めてプレイするようになり飽きも早くなるでしょう、強いからと効率ばかり求めるのではなく色々試そうね。

ステージは基本ループなので見栄え的な変化は少ない

5ステージ1セットで周回していくタイプのゲームです。一応1つのステージに対して1~3つ環境が用意されており、全部で10つになります。これに合わせて特殊エリアが複数存在しているので「少ないなぁ」と感じるほどではないのですが、まぁ遊び続けていればそこまで時間を要さなくても見た目的な部分には慣れと飽きがやってきますね。

マルチのほうが難しい

このゲームはマルチでも遊ぶことができ最大4人で同時プレイが可能です、マルチになると人数に応じて敵の数も増えますので後半特に凄まじいことになります。野良で空いている部屋に適当に入ってマルチプレイはできますが、意思疎通が取れない状況で遊ぶのは非常に難しいゲームです。アイテムの共有とかできないですし、大抵空気読めないプレイヤーも混じってきます。また、基本ping値も酷く、サーバを立ててくれているとマシなのですが大抵サーバは鍵がかかっていて野良を歓迎していません。まぁこれはPC版の環境なのでCS版だとまた傾向が違う可能性はあると思います。

ということで、攻略を考える場合マルチのほうが難しいゲームなので、あくまで「カオスっぷり」を楽しむモードとして考えるのが良いでしょう。基本はソロ向けなのでしょうが、ボイチャで身内マルチが一番楽しそうなゲームです。誰か一緒に遊んでください。

悪いところ

何も教えてくれない

チュートリアル等一切ありませんので、使うキャラを選んだ時点でゲームスタート、「こんにちは!死ね!」な導入です。とりあえず予習も何もしていないプレイヤーはよくわからないうちに敵に囲まれて、逃げながら頑張って殲滅して目的のゲートを起動したらボスと大量の敵が湧いて死ぬのが通例じゃないですかね、まぁ最初は1層で落ちるのがご挨拶なのでしょう。

コマンドーは弱い

弱いというか特にアイテム運に左右されるキャラだと思います、操作性や攻撃に癖がないため初期キャラになっているのだと思いますが、その武装が他キャラより基本貧弱気味なので特に最初期のプレイフィールの悪印象に補正がかかってしまいます。

全体マップやレーダーがない

まぁマップ自体は完全に固定の構造で、落ちているアイテム群がランダムというスタイルなので「まず記憶しろ!」的な方向性なのだとは思いますが、大抵この手のゲームって自分が視認した(歩いた)ところは埋まっていくことが多いと思いますのでなかなか突き放しています。

マップがわからない初心者のうちは、敵を引き撃ちしていたら崖から落ちていた、なんてのがあるあるですよ。落下系は全部割合ダメージなのでそれで死ぬことは無いですけどね(アーティファクトで有効にしていなければ)。

死ぬ理由がよくわからない

マップ(レーダー)が無いということは画面内に収まっている敵以外は所在が一切わからないということです。最序盤から視界外からガンガン攻撃が飛んできます。それでも最初は敵の火力も大人しいし、なんとかなるからいいのです。

長時間プレイした時の後半、ほんともう意味不明なレベルになりますね。死ぬときは大抵いつの間にか死んでいるのです。ジワジワ削られて…なんてことは無い。なんかよくわからない攻撃が視界外から飛んできていつの間にか死んでいることも結構あるわけです。

この手のジャンルは自身が知識や実力を付けながら、運要素をどれだけこちらに引き寄せてコントロールするか、あるいはクズ運を実力と立ち回りでカバーするか、というところにあると思うのですが、このゲームの後半はそういう類のものではありません。敵より火力や回復力が勝っていれば生き残るし、劣っていればどうにもならない、ただそれだけです。プレイヤースキルの介入余地がほぼ無くなります。

翻訳がひどい

マイナーゲームは翻訳してくれるだけでも十分嬉しいことだとは思うのですが、このゲームはちょっとクオリティが低すぎますね。そのままgoogle翻訳に突っ込んだほうがまだマシなんじゃないか?と思うぐらい。

言い回しがおかしくなっていてアイテムの効果が理解しづらかったり、完全な誤訳もあったりするので少しでも英語がわかるなら言語設定を英語にして遊ぶ方が楽かもしれません。

総評

時間経過に大してシビアな以上アイテムの効果、配置パターン、マップの形、敵の処理等1つ1つのことに対して熟知していなければならない、ローグライクらしい「知識」ゲー。シューターとしての実力は正直要らない。後半まで生き残ったときの派手さは圧巻の一言。

熟知といいましたが、繰り返し遊びまくって「体が覚える系」なので、最初は色んなことを考えつつチャレンジして楽しみ、それらが感覚で処理できるぐらい遊び慣れてきたら脳死でヒャッハーしたりヒャッハーされたりするシンプルマゾ無双TPSゲーです。狙って撃つ、というプレイヤースキルはあれば序盤がちょっと楽かな、ぐらいなので正直無くても問題ありません。ただ、敵を捌くのにはコントローラーよりマウス+キーボードの方が圧倒的に有利ではあると言っておきますね。

とにかく掴みが悪いゲームなので最初の数時間プレイで見切りを付けず続けてみるのが良いでしょう。気がついたらその中毒性にどっぷり。(特に序盤の)事故要素、運要素が比較的強めなのは好みが分かれるところでしょうか。それでも知識と実力が付いてくると安定して長時間プレイできるようになるので確実に上達は実感できます(バランスが崩壊するのはそのあとの高次周回領域)。

そもそも各要素やアイテムのアンロック等が繰り返し遊び、様々なチャレンジをクリアしていくことで解禁されていくタイプなので序盤が辛い、地味なのはそういうデザインなわけです、仕方がない。とにかくこれから遊ぶ人は難易度を「小雨」で始めて要素を覚えながら色々アンロックしていきましょう。それに合わせてwikiで補完していくと良いです。

凄く個人的に思うことなのですが、昨今はrogue系の1プレイリセット仕様+diablo系のビルド仕様の組み合わせのゲームが増えてきているのですが、あまり相性良いとは思えないのですよね…EtGぐらいビルドやシナジー効果がシンプルなら良いのですが、複数のアイテム効果がいくつも組み合わさって~、みたいなレベルだと目指すビルドが遠くなり、アイテムがランダム取得である仕様が足枷になってしまっているのです。このゲームのマルチでも「支配」のアーティファクト(アイテムが自由に選択できる)をオンにしている部屋結構多いですし。

1プレイリセット要素はそのプレイ内である程度目指したプレイ方針を(うまくプレイすれば大凡)達成できる範囲であったほうが良いし、濃いビルド要素は基本はプレイの積み重ねと難易度上昇の殴り合いなのでリセットされないほうが良いのです。