【レビュー】爽快アクションかと思いきやガチガチのパターン構築ゲーだったWizard of Legendの話

ゲーム

筋トレはずっと20kgのダンベルを使っているのですが、最近そんなに辛くなくなって来てしまいました。別に筋肉量が凄い増えたとかそんなことは無いので、おそらく重さに慣れてしまったのでしょう。友人の筋トレガチ勢曰く「重さには慣れる」とのことで、慣れると当然筋肉への刺激も減るので効率が落ちてしまうとのこと。とりあえずは違うメニューを組んでみようかなと思います、最近はずっとBIG3のローテーションだけだったので。

さて、今回もsteamセールで購入したタイトルになります。もうだいぶ前に発売して話題になっていたので今更感がとてつもなく強いですが、そこは勘弁してくださいね。

概要

自動生成ダンジョンを自由に組み替えられる4つの魔法を駆使し、軽快な操作感で暴れまわれる(気がするだけの、実は高難易度パターン構築必須の死にゲーだった)アクションRPG

またローグライク?と言われそうですが、私が好きなのでしょうがありません。基本は魔法((アルカナ)をカテゴリ毎に4つ好きに装備し、その組み合わせで様々なコンボを繋げ暴れまわるゲームなのですが、更にエピックというパッシブアイテムを持つことでアルカナ、ステータス等を強化できます。基本はアルカナを集め、敵編成や自身の得意なコンボを主軸に属性を考慮しながらビルドを組みつつ、ダンジョン内でエピックを集めて攻略していく、という流れです。

いいところ

もうひとつの判断基準になりつつあるドット絵

インディーズゲーで「良質なドット絵」のゲームは基本的にハズレがない気がします。「良質な」ね、そこを勘違いしないように。

非常に軽快で癖のない操作性

基本的に「キャラクターはプレイヤーの思ったとおりに動く」というタイプのゲームです。変な慣性や癖がなく、スピード感もありとにかく軽快です。

多彩で簡単なコンボアクション

様々なアルカナをコンボで繋げることができ、そしてその操作も繋げ方も簡単です、特にタイミングをはかったり、目押しをする必要があるコンボは殆どなく(自分でずらしたい場合は別)、とりあえずアルカナを発動させれば大体全部繋がりますから。ただ、ずっと連続させていこうとするならただの連打じゃダメですよ。

エピックでガラリと変わるゲーム性

エピックの効果でかなりビルドへの影響がかわり、同じアルカナでも持っているエピックによって戦い方が変わることもあります、当然それ自体は変わらず、純粋に能力が底上げされるという組み合わせもありますが。

積み重ねによるリプレイ性の高さ

完全リセット系のローグライクではなく、アルカナやエピックは購入を繰り返すと新しいものが店頭に並ぶシステムになっているので、とにかく潜って死んでジェム稼いで死んで購入からのアンロックして…を繰り返していく形になります。EtGと同じく、1回目より100回目の方が遊び方の幅が広がるゲームです。

また、プレイヤーが纏うローブには恒久的にステータスを底上げする効果があり、買っていくことで増えていきますのでちょっとお高い金額ですが、アルカナやエピックとローブで購入候補が迷った場合、序盤はローブを優先的に、次点でエピックを買うと良いでしょう、アルカナはボスを倒すと解放されますので、この3つの中では優先度が一番低くなります。

ちなみに購入にはゴールドとジェムの2種類の通貨を使いますが、ゴールドはダンジョン限定で、買ってもそのダンジョン内でしか効果がありません、そして死ぬとすべて没収されます。ジェムはダンジョン前の商店で使うことができ、こちらで買ったものはアンロックされます、ダンジョン内で死んでも持ち帰ることができる通貨です。

賛否両論

手応えがあるのは良いことだが、仕様のベースがちょっと…

軽快操作の簡単コンボアクション、なので敵を強くしないと本当に無双みたいになってしまうわけですが、難易度の調整の仕方が好みがわかれそうだったのでこちらの項目に。

「被弾時の無敵時間がない」。大抵のアクションゲームは被弾した時に敵にはめられない、連続で攻撃を受けないよう若干の無敵時間を設けていたりしますが、このゲームにはそれがありません。そして敵は(ボスは除き)数で攻めてきますから、押し込められてしまったりするとハメられて死んでしまいます、反撃も回避もできないのです。なので、基本敵に囲まれない、押し込まれないよう立ち回り、こっちが攻撃する時はできるだけ集めて漏れなく攻撃を与えられるようにする必要があります。

「敵のモーションが短い」。モーションを覚えて次に来る攻撃を見破る、というのは普通のアクションゲームでは大変有効ですが、このゲームは雑魚敵全般モーションが非常に短いものが多く、動きが見えたら次の瞬間にはもう食らっている、というケースが結構起こりえます。なので、モーションと言うより敵の攻撃手段毎の「間合い」や「攻撃間隔」で覚えないと回避が安定しません。

「プレイヤーのダッシュには無敵時間はない」。緊急回避系の行動には回避時間が存在していると思いこんでいる人を絶望させるこの仕様。あくまで瞬時に特定の距離を移動できるだけであって、敵の攻撃判定がそこにあれば容赦なく食らいます。一応これに関してはエピックによって回避時間を設けることができるので、その存在でようやくダッシュ回避が可能になります。

「強敵はハイパーアーマー持ち」。ハイパーアーマー状態ではこちらがいくら攻撃しても敵はのけぞりません。なのでコンボ中であっても容赦なく攻撃を差し込まれて中断→そのまま周りの雑魚と結託してはめ殺し、なんてのもありますね。ハイパーアーマー状態の時は黄色のオーラで囲まれていてわかりやすいので、その時は回避に徹するのが正しい攻略です。また、アーマー持ちが解除している時に殴るとピヨるので、その辺りの緩急のバランスはよくできていると思います。

「ボスは完全なパターン構築&ターン制」。基本的に覚えないと攻略できません、見て対応は厳しいでしょう。言い換えると反射神経とかはそこまで要求されないので何度も戦えば安定してきます。周回重ねるとだんだん人間には無理だろうと思われる領域に入ってはきますが。勿論ハイパーアーマー持ちなので、はっきりとこちらとボスのターンが分かれています。

回復手段は非常に心許ない

各層で1回だけ中途半端に回復できる薬が購入できますが、貴重なゴールドなのでできるだけアイテムに使いたいわけであって、実質あまり頼れません。結果的に「とにかく被弾するな!」というゲームになります。アクションベースなのにコンセプトがシューティングみたいですね。

なので「アルカナやエピックを充実させればいつか無双できるようになる…!」とか思ってはいけません。キャラクターを成長させていくゲームではなく、プレイヤーの腕が上昇していくゲームなのです。

悪いところ

最初のつかみが悪い

チュートリアルを遊んで「お、これは爽快で面白いアクションだ!」て感じて、とりあえず1回目のチャレンジで下手したら1層突破もできないという絶望コース、正直狙っているんじゃないでしょうかねこれ。「なんだこれ思っていたゲームと違うやん」で萎える人多そうな気がします(私は若干萎えかけた)。

特に最初に貰える通常攻撃枠に当たるベーシックのアルカナが近接攻撃なのがダメなのです。さっさと中距離タイプのアルカナに変更して進めて、慣れてきたら近接系も手を出すと良いと思いますよ。遊び方、戦い方がよくわからないうちに近接系を使ってはダメ。

世界観がよくわからない

最初のチュートリアルの時点で周りの人達の話を聞いていても「専門用語ばかりでわけがわからない」という感じです。そして意味もわからずとりあえずダンジョンに潜ることになります。そしてストーリーらしいストーリーは無いのでわかっても特別面白いことはありません(一応バックグラインドストーリーはある模様、ゲーム的にはスパイスにもなり得ない)。

ダンジョン構成はちょっと飽きやすい

全10層で、2層クリア毎にボス、最後に大ボス、という流れなのですが、雰囲気にあまり差異がなく単調な感じを受けます。層毎の中ボスは毎回ランダムで変わりますが編成は似たりよったりになりがちで、ボス、大ボスはバリエーションが少ないです。

アイテムは買うまで効果がわからないぞ

教えてくれよ。

アイテム格差

正直使いづらいアルカナは、どんな組み合わせで試してもどうしようもない感じがします。同様にエピックも出番が無いものは無いです。だから尚更買う前に説明が欲しいんだよ…。

事前準備が多いので、ダンジョンで噛み合わないとちょっと…

ダンジョンに行く前にある程度ビルドを作ってから潜ります。でもそのダンジョン内で手に入る(買える)ものは全てランダムなので、運次第で最初にビルドと全く噛み合わないアイテムばかり、ということは起こり得ます。サバイバル感の薄いゲーム性にローグをくっつけるとこうなりますよねそりゃ。

総評

最初から死に覚え&高難易度ゲーだということをわかっていればゲーム自体は非常に完成度が高く、そして大変面白く中毒性も高い。

良くも悪くもチュートリアルの「うおー操作楽しー!」からの1層での叩き落としが損をしている気がしてなりません、逆にそれで燃える人もいるかも知れませんが。レベルデザイン自体は非常に丁寧で、着実に上手くなっていくのが実感でき、それに合わせて深く潜れるようにできています。ただ、被弾無敵や(デフォルトで)ダッシュ無敵が無いというのはアクションゲームとしては評価が分かれる気がします。遊んでいて思うことは、攻略の考え方や立ち回りがどんどんシューティング染みてくるのです。まぁ昔からあるベルトスクロール系のアクションも、最終的にはダメージを受けない前提で進めるから「アーケード系のアクション」みたいな考え方で臨むと良いかもですね。

準備段階のビルドによってガラッとスタイルが変わる反面、ランダム性の強いダンジョン内のアイテムとのシナジーが起こりづらく、あまりローグ系のシステムをそのまま持ってきても親和性が高いとは言えない気がします。リプレイ性自体は高いのでアルカナとエピックの調整面が惜しいですね、「毎回違う楽しさ!」というのは正直提供しきれていません。

金額から考えれば十分破格の面白さなのです。ただ、どうしても前にレビューしたEtGが凄すぎてちょっと見落とりしてしまう感はあります。

どんなにスタイリッシュでもこっちは「魔法使い」です、殴られたら簡単に死ぬのです。 これから遊ぶ人はこれを忘れずに。